奈良時代を舞台に繰り広げられる長い長い恋の路。

序章から読者と主人公は絶望へと落とされます。
主人公は「くるみの人」のおかげで徐々に傷を癒されながら立ち直り、ひとりのおみなとして幸せを掴む。
そんな大大恋慕を見届けることができる作品です。

この物語の魅力は、ひとえに多彩な魅力的なキャラクター達でしょう。
皆が自らの意思を持って、行動をしています。
つまりキャラクターが立っている、これは大変に素晴らしいことです。
全てが複雑でありながら、少しずつ繋がっています。
背景がわかると物語の奥行きが見えてくるのです。
そしてそれらは共感を呼び、ともに悩み、苦しみ、喜び、時に怒り、そして涙します。
これほど感情を揺さぶられる作品はなかなかにないと思いました。

感情の内訳としては、苦しさ2割、コメディ2割、ほっこり2割、ドキドキ3.5割、大川さま0.5割(これは私のひいき)でした。

読み終えた後では、上野国の晴れた清々しい空が思い浮かびます。その下では沢山の人が幸せを営んでいるのです。

読んで良かったと思える作品でした。

以下は私の余談です。
大川様は、大川様です。今日も大川様なんです
彼もまたこの物語からは切っては切れぬ役者です。とても素敵なキャラクターです。
多くは語りません。彼はミステリアスな人ですから。

そして、はなまろ兄さんも大切な役者です。かけがえのないあにさまです。彼らが知ることがないのは少し寂しいですが、致し方ありません。

思わずイラストを描きたくなる作品でした。ありがとうございました。

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