ヒロインと歩む美しい古代日本の物語

時代は奈良、ヒロインの古志加(こじか)が語る恋物語です。

辛い幼少期に心を救われた青年を一途に想い続け、それを大事に実らせていく。
そんなお話になります。

幼少期の境遇、伝わらない想い、襲いくる波乱。
胸が苦しくなる場面も多くあるかと思います。

でも安心して読んで欲しいです。
何故ならヒロインの想いは強く、必ず乗り越えられる確信と、彼女を応援したい気持ちが強くなるはずだからです。
すれ違いにヤキモキしたり、少し伝わって嬉しくなったり、本当にヒロインと物語を歩んでる気分になれますよ。

そう思えるのは登場する人物全員の心象描写がとても美しいからです。
主要人物はもちろん、所謂敵役ですら、共感や同情をしてしまうと思います。
(同情できないド屑にはきっちり制裁が下ります、すっきり!)



この小説の特徴として、
「読み手のことを本当に考えてくださっている文章」、そう感じます。

とてもスマートな文章なのに不足はない。
文字に目が吸い付くと言いますか、目が滑る文章と対極なんです。

舞台が奈良時代なこともあって、現代では使われない言葉も多く出てきますが、
しっかりと注釈や説明がされているのでストレスになることはまずありません。


是非、多くの人に読んで欲しい物語ですけれど、
個人的にはあまり恋愛小説を読まない人には特に読んで欲しい作品です。
新しい扉が開けますよ。(ソースは私)


そして読了後、もう一度序章を読んでみることをオススメします。

序章の結び、
「愛いとしくて、恋いしくて、何度も夢に見た、あの人との話を……。」

この言葉の重みを理解できて感動しますよ。

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