災厄を与えしパンドラの箱VS武器収集が趣味の男。勝つのはどっちだ?!

ここに「スキル」を4つ持った男がいる。

「器用」。
どんな物/事でもあっという間に習得。そつなくこなしてしまう。
「俊敏」。
何者より速く行動できる。
「激運」。
幸運の女神に愛され、常に良い境遇に身を置ける。

そして「浪費家」。

せっかく3つも素晴らしい「才能」を手に入れたのに、冒険者として致命的な謎のスキル。
手に入れた富をあっという間に消し去ってしまうそのスキルは──

彼の、「武器収集」という悪癖を示している。

やたらに武器を買っては溜め込むせいで、彼は金欠となり、ローグ(ならず者)となり、変人の称号を得る。
そんな彼が出会った「謎のダンジョン」という宝の山。
彼はダンジョンを制覇し、好みの武器を手に入れられるのか?
それとも別の結末を得るのか……?

これは「金欠ローグ」なる変わり者と、ある日突然現れた謎のダンジョンを中心とした、不幸と不運と成長の物語。


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最後まで読んだ上でネタバレを避けつつそれっぽい気になるあらすじを……となると、これが限界です。すみません。

以下個人的な推しポイントです。
むしろレビューとしてはここからが本番なので、ぜひ読んでください。


このならず者、第一話でノエルという名前が出てくるのですが。
その第一話で華麗にパーティーから追放されます。
リーダーなのに。一番強いのに。残りはデビューしたてのひよっこメンバーなのに。全ての場で最も功労賞をもらえる存在なのに。

浪費家で否応なくパーティーを極貧に突き落とす、そのせいでついにクビを宣告されてしまいます。

いやいやにしてもそれで追放て。と読みたての自分は思ったのですが、まぁこれはオタクの所業。使いもしない武器をひたすら買って貯蔵して、宿は馬小屋、食事は薄いスープ一択、これじゃ夢いっぱいの新米冒険者たちには地獄と言えるでしょう。

なるほど仕方ない、では一人っきりでダンジョン攻略を目指すか……。というのが序盤の展開で、さてノエルは。最も強いリーダーを追放した新米君たちは。ダンジョンの謎とは……というのがこの物語の主軸となっていきます。


正直自分、スキル/追放/ダンジョンという昨今の流行り物を一つも読んでいなくて、どういう展開がセオリーで、この物語はどこを外してるのかわからないのですが。

この作者様は「ダンジョンが生まれた理由」「マイナススキルが存在する理由」「主人公がダンジョンを攻略し、何を得るのか」まで華麗に全ての要素を回収し、素敵な物語を紡いでくれています。

途中、「ダンジョンの管理人」なる存在と、メタ地味たサブカルネタが挟まれますが、これもいい味を出してまして。これが上記の謎たちとどう絡むかも見所です。


そして何より、ノエルと関わったキャラクターたちの人間模様が非常に魅力的で。
オーガスト!頼む!主人公やろう!君の物語は小説一本分の価値がある!!!!
ソフィア!頼む!主人公やろう!君の物語は(以下略)
メイ!頼む!君も主人公やろう!(以下略)
って感じで、うっ……みんな可愛い……愛しい……これがサブキャラなのが信じられません。
序盤は色々アレですが、きっときっと評価を変えていただけるはず。

さらに途中から出てくるある人物。これがノエルのダンジョン攻略と成長に非常に良い影響を与えてくれまして、これは読んでのお楽しみ!


この作品の根底に流れるのはアッパーな賑やかさ。ベタなファンタジーRPGは好きですか?心躍る物語は好きですか?キレのいいボケとツッコミは好きですか?
この作品は、きっとそれら全ての欲求を満たしてくれます。


追記)

個人的にはノエルさん大変好みなので、もう少し掘り下げてくれますと……いや、その後か番外編か前日譚を下さると……いえ、戯言失礼しました。

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