美貌と秘密を持ったティリオン、スパルタの勇ましい姫であるアフロディア、スパルタの若き兵士クラディウス、ティリオンを追いかけるフレイウス、若者たちがそれぞれの立場や想いで行動する姿が、活き活きとしてとても惹きつけられ、感動的でもあります。
古代ギリシャについて、知識がなくても、まったく問題ありません。
言い回しや表現は理解しやすく工夫され、物語の主軸は人間ドラマでもあり、すっと登場人物たちに感情移入ができます。
それでいて、ギリシャの各ポリス間の摩擦や、政治状況がしっかりと縦軸にあり、それが物語を動かす根幹になっています。
ロマンスあり、友情あり、主従の忠誠あり、スパルタ兵の屈強な肉体あり、どこを目的としても満足できる筈です。
是非ご一読ください。
舞台は古代ギリシャ。歴史ジャンルではありますが、歴史を知らない人でも読みやすいように配慮・工夫されています。
文章は無駄を削ぎ落す形で洗練されており、スラスラと読んでいくことができます。情景描写はそれほど多くありませんが、短い一文の中には様々な情報が含まれているため、物足りなさは感じません。ギリシャの風をしっかり感じ取ることができます。
この小説で特に素晴らしかった点は二つ。
・まるで本当に生きているかのようなキャラクター造形、そしてセリフ回し。
・しっかり練られたストーリー構成。
古代ギリシャという舞台の中で、登場人物たちが本当に暮らしているかのような錯覚を受けました。キャラクターたちは各々の立場に沿った考え方や信念を持っており、行動の一つ一つには必ず理由があります。それはいわゆる作者の操り人形とは対極に位置し、まるで本当に実在した人物なのではないかと思わせてくれるほど。
中でも私の一押しは、ヒロインのアフロディア姫です。
猛獣を思わせる手のつけられないじゃじゃ馬で、けれど赤子のように純真で、そして炎のように情熱的な人。
愛する者のためなら、文字通りすべてを投げ捨てることのできる真っ直ぐな性格は、思わず立ち上がり応援したくなるほど。
キャッチコピーはそんな彼女のセリフなのですが、そのシーンがまた熱い。間違いなく、読者の胸を打つことでしょう。
またストーリーも秀逸です。臨場感のある多彩なストーリー展開によって、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。さりげなく張られた伏線に一体どれだけの人が気付けるでしょうか。どちらかといえば、WEB小説というよりかは、文芸作品に近いストーリー構成だと思います。
終盤の展開には思わず、目頭が熱くなるほどでした。
さて、最後にこれだけは言っておきます。読まないと損ですよ。
真摯に願い、真剣に努力する者が、小人の悪意や敵意に足元を掬われる。互いに心から想い合っていて、誰も悪くないのに、誤解や思い込みですれ違い続ける。その先に訪れる結末は多分全然スカッとはしないものだろうと予測はつくのに、どうして人間は『悲劇』を摂取したがるのか。
私は、その答えの一端が、この物語の中にあるような気がします。例え悲しいものに終わっても、その願いや努力、想いは決して無意味ではなかったと、舞台から去っていく者たちに心から拍手を送りたくなるからです。二五〇〇年も昔のギリシャ悲劇がいまだに現存しているのも、そういうことなのではないのかなと思ったりします。
こちらの第一幕は幕が降りておりますが、既に第二幕の幕は上がっております。つまり、引き続き、古代ギリシャの風に彩られた主人公たちの旅路を追いかけることができるということです。古代地中海史がお好きな方、冗談みたいな出会いから始まる恋物語がお好きな方、神聖なまでに濃厚な主従の物語がお好きな方は、是非。
罪を負い故郷を去る、銀髪の美しい主人公を中心に、
彼を追うもの、慕うもの、嫉妬するもの、
国を憂う王、野心を抱くもの、邪なものたちの人生が、
時には喜びに満ちて、時には血と苦痛にまみれて、
交差していきます。
キリシャを舞台にした歴史物語ですが、
スパルタって、恐ろしい戦士だけの国ではなかった。
アテナイは、民会と修辞学だけの国ではなかった。
こんなに魅力的な人々が暮らした世界なんだ、と思うと、
ギリシャ文明のイメージが、大幅にアップしました。
文章がとても読みやすくて、ぐいぐいと引き込まれます。
ギリシャに興味がある方も、そうでない方も、
ぜひ手に取って、読んでみてください。
この素晴らしい小説に出会ったのは、ほんの一か月半ほど前かそのぐらいだと思います。
カクヨム初心者だった私は、この作者様のカクヨム初心者向けのエッセイを発見し、先ずはそちらを読み始めました。
すると、この作者様の代表作(と私は今確信しておりますが)とも言える「ギリシャ物語」の存在に気付き、それとなく読み始めたのです。純粋に、初心者の私は目に入ったものをとりあえず読んでみようという好奇心にかられ、この小説の第一話を読み始めました。
読み始めれば、スパルタ、アテナイ、数々のポリス…かつてのギリシャの世界。
スパルタと言えば、「300」の代表されるような映画の話や、レオニダス王の「モーロン・ラベ」ぐらいしか知らず、名前も複雑で世界観に入るのは難しいと思い、最初だけ数度読み返したほどでしたが、慣れるとこんなに面白い話はなかなかお目にかかれないとえらく感心しました。
私は海外の作品はよく読むのですが、歴史物と言えば、司馬遼太郎に代表されるような日本の歴史を綴った作品しか読んでこなかった気がします。
そんな海外歴史系作品素人ではありますが(そもそも、各作者には別々の魅力があり、比べること自体が無意味ですが)、それを踏まえても言わせていただくと、「ギリシャ物語」は傑作です。この物語には、この物語にしかない魅力があります。
正直無料で読めるサイトで、ここまでしっかりと、ここまでかというほど登場人物が魅力的で、情緒溢れる作品に巡り会えるとは思ってもいませんでした。
このレビューを読んでいいただいている皆様に、謹んでお勧めさせていただきます。
『歴史モノってハードル高いなぁ』と思っているそこのあなた、こちらの作品を是非読んでみてください。スパルタの事は、映画とゲームでしか知らなかった私が、見事にハマってしまいました。
この作品の素晴らしいところは沢山ありますが、私が一番好きなのは、登場人物達が全員魅力的なところです。皆しっかりとした軸を持って、生きていると感じました。皆それぞれ見せ場があって、読者の方は必ず誰か一人は推しができるんじゃないかと思いました。
私はとにかくアフロディア姫の魅力にやられてしまいました。こんなにカッコよくて可愛いヒロインに会えてよかった……。ありがとうございます! 人間関係も見事で、彼女の恋と、幼馴染との関係と、兄妹愛も、好きな所を挙げたらきりがないです。
ティリオンとアテナイ側の登場人物達にも魅力がいっぱいあるんですが、書いてしまうとネタバレになってしまうので……ぜひ、読んでみてください!
ギリシャ史って珍しいなあと軽い気持ちで覗かせていただいたら、するするとはまり込んで、最後の方は一気読みしてしまいました。とても面白かったです!
物語の構成が見事で、効果的な伏線と次が気になる展開が最初から最後まで続きます。
ギリシャ史に基づいた物語ですが、前知識が全くない読者でも作中の世界観を苦労なくイメージできるように、当時の社会文化などが実に丁寧かつ簡潔に織り込まれていました。
とにかく、読みやすく面白いのです。
主軸は恋なのですが、歴史ものの醍醐味である、政治、駆け引き、戦の要素も外されずに盛り込まれており、読み応えも大盛りでした。
そして、キャラクターもとても魅力的でした。私は、破天荒という言葉がぴったりのアフロディア姫と、決して非凡ではないけれど直向きで優しいクラディウスが特に好きですが、他にも英雄や悪役がたくさん登場します。エパミノンダスには腹が立ちましたが、何だか面白いので彼のことも憎めません。。
面白さを伝えたいのですが、レビューが大変苦手でして、拙文恐縮です…
素晴らしい物語をありがとうございました!m(_ _)m
私は、ある方のおすすめレビューがきっかけで、この小説を読み始めました。
『読まず嫌いはもったいない!』
……ほほう、ギリシャの物語。
私自身、その時代の世界史は、あまり勉強していないもので、
どんなものかと立ち寄りました。
最初の印象は……どうしたものか。
登場人物の名前が覚えられない。(史上の人物)
2~3ページ読んだ所で、読むの止めようと思いました。
しかし読者からのコメントを見ますと、熱量が感じられます。
これは、お付き合いで読んでる人達じゃないな。
そして、登場人物の名前をメモしながら、読んで行きました。
これから読まれる方に、強くお伝えしたい事があります。
序盤は、少々我慢してでも読んで下さい。
途中から、ページをめくる手が止まらなくなります。
内容、描写、伏線の張り方、どれも素晴らしい、さすがです。
私なりに、色々なWeb小説を読んできましたが、
この方、もしかしてプロの作家さんではないだろうか?
その様に感じた作者さまが、今まで2人います。
この小説の作者さまは、その内の1人です。
スパルタとアテナイに代表される、ギリシャのポリス時代。出会うべくもなかったはずのふたりが出会い、激しい恋に落ちてしまう。折しも各ポリスはそれぞれの思惑をもって腹を探り合い、策謀をめぐらす。それを虎視眈々とながめる大国ペルシャ。数奇な運命を経て、惹かれ合う男女の行方は――。
予備知識は何もいらない、極上の大河ドラマ。それぞれのポリスの事情をからめ、ときに笑えるセンスを挟み、古代ギリシャにあった(かもしれない)ロマンスが一大スケールで描かれます。当レビュー筆者のイチオシは、なんといってもアフロディア姫。登場まもなく、あなたの興味をわしづかみすることうけあいの魅力です。そして奇妙な生き方を背負うことになった美青年ティリオンの行く道は?目が離せなくなりますよ。
これは、スパルタの姫とアテナイの有力者の息子との恋の物語…というだけでは終わらない、古代ギリシャのスパルタについて描いた壮大な歴史ドラマ小説です!
読めば、きっと、この小説のクオリティの高さに驚かされます
ほのぼのする部分もあれば、スパルタらしさを感じさせるハードなシーンや、ギリシャの各ポリスがそれぞれの思惑で奸計をめぐらせるようなシーンもあり、ドキドキとワクワクが沢山で読み応え最高!
もちろん、ホントに泣けちゃうシーンも!
私には、星三つでは足らないと感じる作品でした。
しっかりとした描写で、とても読みやすく、長編ですが、読み始めれば面白くてどんどん読み進み、あっという間に読み終わってしまうとおもいます。
ぜひぜひ、沢山の人に読んで欲しい作品です!