表現に携わる者たちの「圧」に圧倒される…!

タイトルにあるように、確かに演じ手は自身が無から台詞や物語を生み出すわけではない。創作者から表現を託された言葉を喋る行為を嘘と捉える一筋縄では行かなさが、役者としての日常を淡々と描写するストーリー進行に言い知れない緊張感をもたらしていたように思います。
同じ役者である恋人との関係や噺家の先輩との屈折したライバル関係など、表現者たちの人間関係には何かしら圧のようなものが付きまとう一方、アパート隣室の住人夏芽と喫茶店に集う人々のどこかリラックスした関係性の好対照さが印象的でした。
劇団の公演までという限られた日数を切り取った展開ではありますが、何かしら創作や表現に携わる人なら、読んで思う所のある物語だったのではないか、と思います。

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