まさかの異世界本格スポーツドラマ!

乙女しか触れないはずのユニコーンに、かつてユニコーンライダーだった人妻が再び騎乗して馬上槍試合=トーナメントを戦う……という、露骨に出オチ感あふれるタイトルですが、読み進めてみると単なる出オチでは終わらず、試合風景から競技日程の進行や賭けの描写など、トーナメント自体の描写がじつに詳細に描きこまれております。とくに対戦シーンなど、槍で突きあうというシンプルな競技ながら対戦両者の駆け引きが精緻に描きこまれていて、中世の実在の競技をリアルに描き込んだ本格スポーツものとして興味深く読ませていただきました。
異世界ファンタジーとしてはそこまでこだわって掘り下げられた世界観ではないにせよ、魔王を倒したのちの英雄のその後を語る物語として、キャラ同士の人間模様などさらりとではありますが意外と(失礼)丁寧に描かれていたように思います。

良くも悪くもやはりタイトルのインパクトが強くて、ある意味読む人を選ぶ向きもあったかと思いますが、個人的には意外な本格派として興味深く読ませていただきました。