戦が終わったはずの戦場に、なお残る二人の剣士。
勝者の側に立つ傭兵ブルと、敗者となった帝国の剣士エダ。
降りしきる雨を待つ空の下で交わされるのは、
救済か、裏切りか、それとも――死。
「死神の剣」と呼ばれる青年エダは、
生き残るための取引を受け入れたように見えた。
だがその一瞬の油断が、血に染まる選択を呼び起こす。
復讐の果てに何を失い、何を背負い続けるのか。
“英雄”とは何か、“生き延びる”とは何かを問いかける。
剣戟は鋭く、判断は一瞬。
そしてその一瞬が、男を「死神」へと変えていく。
重厚な戦記ファンタジーを求める読者に、強く薦めたい序章である。