この空気感が本当に凄い。繊細な心情が描き出される恋愛ヒューマンドラマ

最後まで読ませていただきました。
こちらは澪という少女と、彗という画家を目指す少年の高校生から大学生時代をメインに描かれている恋愛を主体にしたヒューマンドラマです。
最初はミモザの木の下での出会いから始まり、二人の目指す夢や、暖かな関係性の中から様々な物語が生まれていきます。
心が温かくなるお話や、怒涛の展開など様々な起伏が盛り込まれており、無我夢中で読んでしまいました。
また魅力的な登場人物だらけで、なんといっていいのか、可愛いもかっこいいも男女関係なく出てきて、私も人生相談したい、とか、応援したい!とか、各人物についても思わず深く語ってしまいたくなるような人達がたくさん出てきます。(星加くんがすごくスキ…)

お話の展開もとても素晴らしいのですが、もうとにかく味わってもらいたいのがこの小説内の空気感。そして各人物達の心情。
主人公二人の関係性からくる心情、そんな二人を見守る周囲の人物達の心情、儚さなどが止めどなく溢れています。
その心情には、作者様の素晴らしい比喩表現や細かな動作の言葉使い、その一文字一文字から本当に味が染み出いているような繊細すぎるほどの表現方法で始終が語られています。
その点にもぜひ着目していただきたいのですが、その文字上で展開される人間模様にもぜひ注目してもらいたいです。

後半はほぼ泣きっぱなしで、鼻水を垂らしていた私でしたが、主人公たちはもちろん、その彼らを支える人々達からも、そのリアルすぎる心情や関係性、みんなの過去や生き様などから、読者自身が得られるものも多いかと思います。
また芸術関連のお話や、おいしそうな料理が作中にたくさん出てきますので、かなり色んな知識が増えるかと思います。

コトコトと煮込まれたような深く味わいあるこの物語を、ぜひじっくりと皆様に味わっていただきたいなととっても思います。

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