奈落の底へ向かう人生だとしても一つの正解がここにある、そんな悲劇の物語

1920年代のアメリカを舞台にしたこの物語。
一言で説明すると、冴えない女だと自称する20代後半の女性、テイタムが主人公で、彼女が関わる人物達と奈落の底へ落ちていくお話です。

読み進めると、その奈落への吸引力がどんどんと増していき、あっという間にラストへ辿り着いていました。
海外文学のような雰囲気がとてもあり、読みやすく、巧みな描写力で、古いアメリカの時代に読者の世界を染めてくれるのも心地よかったです。

この物語で、主人公テイタムの人生を知ると、正解は一体何だったのか、彼女は何を選択すればベストだったのか、と考えずにはいられません。
私達もテイタムと同じようにその瞬間瞬間をベストだと信じながら、生きているわけですが、もしかしたら彼女のように奈落へ向かっている場合もあるかもしれません。
それでも、彼女のように必死に生きてきたそれまでの道は、誰にも否定できないものだと思います。
そんなひとつの『正解』をぜひ知っていただきたい、そんな物語です。
おすすめです。