破滅までまっしぐら、人を見る目がなさすぎる女のジェットコースター転落劇

読み出したら止まらない。
完全に酷いことになる結末しか見えないのに、怖いもの見たさで先へ先へと読み進んでしまう。
久々にそんな作品に出会いました。

人物描写が非常に巧みな作者さまです。
常に受け身で、壊滅的に人を見る目のない主人公・テイタムの人となりが、その生い立ちからリアリティがありました。
周囲の人々はみんなあまりにも身勝手で、テイタムはただただ翻弄され続けます。
このストレスフルなはずのストーリー展開に、凄まじい勢いで惹き込まれました。

1920年代アメリカ風の情景描写も素晴らしいです。
当時の生活や空気感まで伝わってくるような精緻な筆致で、まるで映画を観ているかのようでした。

ラストは行き着くべくして行き着いたような、見事なバッドエンドです。
ここまでくるといっそ清々しい。
だけど、こんなに惨めで哀しい人生でも、テイタムが最期まで信じて貫いた「正しさ」が、唯一燦然と輝く美しいもののようにも思えました。

すごく面白かったです。すごい。読めてよかった。ありがとうございました!

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