NO.8 『狂気度』
―― 同日
ライトは『街』に着き、
ムカイから渡された紙を読む。
メンバー1……シュレン
17歳、女、『狂気度2』
メンバー2……クロム
16歳、男、『狂気度3』
――その他にも
身長や見た目の特徴、
『街』のどの区画によく現れるかなどが
書かれていた。
その二人に共通する点は、
子どもであること、
同じ区画にいること、
そして『浮浪の子ども』であること。
「……面倒なメンバーだな。
『狂気度2』はまだしも、
『狂気度3』は厄介過ぎるだろ」
狂気度はその名の通り、
いかに狂っているか、正常であるかを
現した指標である。
狂気度にはレベルが1~3まであり、
狂気度が一切無い者は『光の民』とも呼ばれる。
狂気度レベル1は『光の民』に近く、
ほぼ正常であるとされる。
狂気度レベル2は
基本的に意思疎通は可能であるが、
時に暴れ出すことがあるため要注意。
狂気度レベル3は
意思疎通はほぼ不可能であり、
暴れ出したら他人が止めることは不可能。
狂気度の差は、
その者が持つ闇の量に比例する。
もちろん狂気度レベルが
高くなればなるほど闇を取り込んでいる。
『ウィリエルの城』の人口では
『光の民』が圧倒的に多いため、
闇持ちは厄介者扱いされている。
そのために、
闇持ちは浮浪人がほとんどだ。
例えそれが、
子どもの闇持ちであっても。
裏路地を住処にしている
闇持ちの大人は多いが、
住処を持たない闇持ちの子どもは
『街』を彷徨う者が多い。
そこで話題になるのは
『浮浪の子ども』問題である。
『浮浪の子ども』が年々増えてきていることが
『街』では問題視されているのだ。
「それで、そこら中にいる
『浮浪の子ども』から探し出せと……」
ライトは紙から顔を離し、
たくさんの人々が行き交う『街』を
遠目から眺めた。
そこには買い物を楽しむ者、
元気に走り回る子どもたちに加え、
行くあてもなく彷徨っている少年少女たちもいた。
「……とりあえず会ってみるしかないか」
ライトはそう言って、一歩を踏み出す。
――バリンッ!!
それと同時に何かが壊れる大きな音がした。
「なんだ!?」
ライトは大きな音がした方へと顔を向ける。
彼は目を見開いたまま、
異様な光景を目撃した。
今まさに『外』へと飛び込もうとしている
一人の少女がいた。
歯を見せて笑う口からは
白い煙のようなものが溢れ出ていた。
その光景を捉えると
ライトは異常事態が起きている場所へと
走って向かう。
すると少女の姿は闇へと消えていった。
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