NO.12 二人目

――城門に二人の子どもの姿が現れる。


「30分か、意外と手こずったな」


「ライトは手持ちの懐中時計を眺めてそう言った。」


懐中時計を持つ彼の反対の手腕には、


シュレンが脇に抱えられていた。


シュレンは何が起きているのか分からず、


ぽかんと呆けている様子だった。



――『大窓』から『外』へ飛び出したライトは、


シュレンの頭上をめがけて落下していった。


そこからは早く、


シュレンを脇に抱え、


『魔物』から逃げながら城内へと向かった。


『魔物』を撒くことに30分かかりながらも、


ライトとシュレンは城内へと戻ったのだった。


「……よし、次に行くか」


ライトはシュレンを脇に抱えながら、


もう一人を探すために歩き出した。


シュレンがハッとして顔になり、


ライトの脇からジタバタとなりながらも抜け出す。


「――なんだよ」


「……それはこっちのセリフ!


な、何が起きて……」


シュレンが動揺したまま頭をかく。


「……」


ライトは目を細め、ムカイに渡された紙を取りだす。


そして、その紙に書かれていることを再度確認する。


警戒している様子のシュレンが、


ライトを直視しているものの


当の本人は気にすることなく彼女を観察する。


彼女の髪型はミディアムショートのストレート、


赤みがかかった黒色の髪と瞳、


服装は長袖Tシャツに長ズボン、


まるで女性らしくない態度と口調。


ライトの視線が彼女と手元の紙を行き来し、


何一つ間違えていないと彼は確信する。


そして、紙を折り畳んで仕舞い込む。


「……よし、間違っていないな」


「何見てるんだ!


い、意味が分からない……」


観察対象になっていたシュレンは


当然のように反発し、


居心地が悪そうにしていた。


それは、


この状況に理解が追いつかず混乱している様子にも


見てとれた。


ライトはこれまでの彼女の言動を見て、


『狂気度2』の中でも意思疎通がしやすい方だ


と感じていた。


「俺は、お前ともう一人を探しに来たんだ。


もう一人を探したら、後々説明する」


「……なんで、レンがついていかなきゃいけない?」


「暇なんだろ。


あと、手伝いはお得意だろ?」


「……」


シュレンは胡散臭そうに


ライトを睨むような目で見る。


「……まあ、そっちが引かなそうだからついてく。


でも、ちゃんと後で説明してもらうから」


彼女はライトへ向けて人差し指を突きつける。


ライトは「俺の名前はライト」と告げると、


顔を背けながら「シュレン」と言う声が返ってきた。

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