NO.11 子どもたちと少年

やがて『大窓』は完全に元の姿へと戻る。


だが、『大窓』の周りにはまだ人だかりがあった。


「だ、大丈夫かしら、あの男の子」


「自分から『外』へ行くなんて」


「あの男の子は『狂気度1』っぽかったわよね」


人々は『大窓』の外へと向かった少年を案じているようだ。


その少年が来てから『外』へと行くまでの


一部始終を見ていた者がいた。


その者はただ呆然としたまま


ずっと眺めるように見ていた。


「何してるの?


……ああ!なんかすごいお兄さんがいたね!」


「いやぁ、『外』に行くなんて思わなかったよな!」


「うんうん!」


その者の周りには5人ほどの子どもたちがいた。


「なぁ、もう行こうぜ!」


「次はどこ行くー?」


「次はね~」


子どもたちが立ち上がって


その者から離れていく。


「ねぇ、クロムも行こうよ!」


一人の子どものその言葉に


まるで金縛りから解けたかのように


その者が立ち上がる。


「……ン」


その者は軽く反応を示し、


その場を後にした。

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