NO.6 『闇持ち』

シュレンは『街』を歩く。


子どもたちは走り回って遊び、


大人たちは買い物や談笑を楽しんでいた。


賑わっている『街』を眺めながら散歩をすることが


シュレンの午前の日常だった。


賑わっている大窓側から離れ、


住宅がひしめきあっている方へと向かう。


住宅の奥へ奥へと進むと、


道がだんだん狭く細くなっていく。



――そこは裏路地。


賑わいのある大窓側の反対へ行けば行くほど、


治安が悪くなっていく。


「お嬢ちゃん、


一人でこんなところに来ちゃダメだろ~?」


シュレンは背後から声をかけられる。


「ここは闇持ちの住処だぜ?


『光の民』がここに来たら


取って食われても知らな――」


シュレンは後ろを振り向き、


野蛮そうな男性の顔を見た。


男性は初め、下心のある顔をしていたが、


すぐにつまらなそうな顔をして言った。


「――なんだ、お前も闇持ちか。


今日はツイてないな」


男性は踵を返し、その場を後にする。


その姿を見て、


シュレンは呆れた様子でこう呟いた。


「今日はよく絡まれるな……」

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