夢に溺れる

ホラーゲーム風短編小説。「還願-DEVOTION-」から着想を得てます。

これは夢。記憶が見せる幻。
全ては幻覚にすぎず、現実ではない。だと言うのに何故、こんなに苦しいのだろう？
どんなに逃げても、逃げられない。
親から、家から、環境からは、逃げられない。


◇

恵まれて育った自覚はある。
しかし、それが幸福かどうかは別の話。

私が望むほど、恵まれるほど、兄は我慢を強いられた。
夢に見た幸せな家庭など無く、ここには地獄だけが存在していた。



夢は現実にできず、夢は現実になった。


全ては手遅れであった。