全ての登場人物が魅力的な、ハラハラの止まらない現代ファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
皆さんは鴉にどのようなイメージを持たれますか?
古くより、鴉は神的な鳥と考えられてきました。
この物語にも、とても魅力的な、可愛くて頼りになる、しかし茶目っ気たっぷりの鴉が登場します。いくつもの神話と結びつきのある鴉ですが、こんなに愛らしくて抱きしめたくなる鴉がいるでしょうか?
彼女と出会ったのは高校生の少年。この少年、一見すると大人しそうに見えるかもしれませんが、芯は強く、心根が優しく。そんな少年はなんとこの鴉と絆を結び、事件に巻き込まれていきますが、真相は少年本人と……?
次々に生じる事件、入り組んだ過去の因縁、不思議な力を持つ「神粒」とは何なのか——物語は常に読者を「次どうなるの?」とハラハラさせながら進んでいき、この世界に引きこみます。
そして所々に挿入される、ふとした登場人物たちの言動がクスッと笑ってしまって、シリアスな本筋と絶妙なバランスを成しています。
登場人物一人一人が個性的で、読み進めて彼らの色々な面が見えてくると、現実の知人友人と同じように新たな一面が愛らしくなったりする。最後にはどの人もみんな好き! と思ってしまう魅力抜群。
ぜひ彼ら一人一人の仲間への思いやり、決断と行動、ああもう言葉がうまく見つかりません、と困るくらい!
心踊る群像劇をぜひ!
(読者の一人に与すれば、打掛をご覧になったら興奮すること間違いなし! 好きです!)