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「えっ、キクナさん?」

「タヌキの?」

「誘拐?」

3匹の白い狐たちは、そう言うと、顔を見合わせた。

「ネタはあがってるんだ。

さっさと、吐け。」

サキはそう言うと、バンッと足で床を踏み鳴らした。

「ひぃーーーっ。

ほっ、本当に知らないんです。」

白い狐たちは、シュンとした顔で、アヤとサキを見ながら言った。


「どういうことかしら?

本当に知らないみたいだけど。。。」

アヤが、タヌ助を見ながら言った。

「うーん、確かに、嘘を付いているようには、見えませんね。」

タヌ助も、少し困ったような顔で、狐たちを見た。


するとそこへ、白く細い、少し大きなメスの狐が、露天風呂の柵を乗り越えて入って来た。

「もう、あなたたち、こんな所に居たの?」

その白いメスの狐は、捕まっている3匹の狐を見ながら言った。

「あっ、お姉ちゃん。」

「助けてよ。」

「怖いよ。」

急に、3匹の白い狐が、泣きながら言い出した。


「あの、スミマセン。

わたしナシャと言って、この弟たちの姉です。

たぶん、また、弟たちが、何か悪さをしたんですよね。

この通り謝りますので、許してやって貰えないでしょうか?」

ナシャは、深く頭を下げると言った。

「でも、どうやら、その子たちが、タヌキのキクナさんを誘拐したらしいんです。」

アヤは、ナシャをジッと見ながら言った。

すると、

「えっ、わたしが、どうかしたの?」

柵の向こうから、少し小さなメスのタヌキが顔を出した。

タヌキのキクナだった。


「えっ、キクナさん。」

タヌ助が、そのタヌキを見て、驚きながら言った。

キクナは柵を越え、露天風呂に入って来るとると、ナシャの隣に並んだ。

「キクナさんでしたら、1ヵ月位前から、わたしの所に遊びに来てます。」

ナシャはそう言うと、優しくキクナの頭を撫でた。

キクナはうれしそうに、ナシャを見ながらほほ笑んだ。

「えっ、ええっ、そうなの。。。」

アヤとサキは、とても驚いて言った。

「むっ、むむむむ、と言う事は、誘拐されたと言うのは、タヌキ大神さまの早とちり、ですね。」

タヌ助は、沸々と湧き上がる、怒りのような物を感じていた。

しかし、それと同時に、とても大きな不安が頭を過った。


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