11
「えっ、キクナさん?」
「タヌキの?」
「誘拐?」
3匹の白い狐たちは、そう言うと、顔を見合わせた。
「ネタはあがってるんだ。
さっさと、吐け。」
サキはそう言うと、バンッと足で床を踏み鳴らした。
「ひぃーーーっ。
ほっ、本当に知らないんです。」
白い狐たちは、シュンとした顔で、アヤとサキを見ながら言った。
「どういうことかしら?
本当に知らないみたいだけど。。。」
アヤが、タヌ助を見ながら言った。
「うーん、確かに、嘘を付いているようには、見えませんね。」
タヌ助も、少し困ったような顔で、狐たちを見た。
するとそこへ、白く細い、少し大きなメスの狐が、露天風呂の柵を乗り越えて入って来た。
「もう、あなたたち、こんな所に居たの?」
その白いメスの狐は、捕まっている3匹の狐を見ながら言った。
「あっ、お姉ちゃん。」
「助けてよ。」
「怖いよ。」
急に、3匹の白い狐が、泣きながら言い出した。
「あの、スミマセン。
わたしナシャと言って、この弟たちの姉です。
たぶん、また、弟たちが、何か悪さをしたんですよね。
この通り謝りますので、許してやって貰えないでしょうか?」
ナシャは、深く頭を下げると言った。
「でも、どうやら、その子たちが、タヌキのキクナさんを誘拐したらしいんです。」
アヤは、ナシャをジッと見ながら言った。
すると、
「えっ、わたしが、どうかしたの?」
柵の向こうから、少し小さなメスのタヌキが顔を出した。
タヌキのキクナだった。
「えっ、キクナさん。」
タヌ助が、そのタヌキを見て、驚きながら言った。
キクナは柵を越え、露天風呂に入って来るとると、ナシャの隣に並んだ。
「キクナさんでしたら、1ヵ月位前から、わたしの所に遊びに来てます。」
ナシャはそう言うと、優しくキクナの頭を撫でた。
キクナはうれしそうに、ナシャを見ながらほほ笑んだ。
「えっ、ええっ、そうなの。。。」
アヤとサキは、とても驚いて言った。
「むっ、むむむむ、と言う事は、誘拐されたと言うのは、タヌキ大神さまの早とちり、ですね。」
タヌ助は、沸々と湧き上がる、怒りのような物を感じていた。
しかし、それと同時に、とても大きな不安が頭を過った。
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