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「そうですね。。。
確かに妖気は感じますが、危険な妖気は感じないですね。」
タヌ助がアヤを見ながら言った。
「じゃあ、ここじゃ無いのかしら?」
アヤも少し周りを見ながら言った。
「いえ、タヌキ大神さまが言った場所は、ここで間違い無いと思います。
強い妖気を感じ無いということは、その物が眠っているか、或いは、今はここに居ないか、だと思います。」
タヌ助はそう言うと、突然ピクンと耳を動かし、山の麓の方を見た。
「どうした?」
サキがタヌ助を見ながら聞いた。
「シッ、何かが近づいて来てます。
そこの木の陰に隠れて。」
タヌ助は緊張した声で、小さく言うと、急いで直ぐ近くの木に隠れた。
その後に続いて、アヤとサキも、木の陰に隠れ、コッソリ顔を覗かせた。
アヤたちが木の陰に隠れると、直ぐに、山の麓の方から、3匹の真っ白なサルが、木の枝を伝いながら進んで来た。
そして、アヤたちが隠れて居る木の近くに来ると、
「ん、何か妖気を感じないか?」
そう言って、1匹のサルが、木の枝の上に止まった。
「気のせいだろ、何も感じないぞ。」
「それより、早く帰って、遊ぼうぜ。」
他の2匹のサルも止まると、最初のサルを見ながら言った。
「そうか。。。
まあ、良いか。」
そう言うと、3匹のサルは、またヒョイヒョイと木の枝を伝い、森の奥へと進んで行った。
「あんな、真っ白なサルって、初めて見た。」
サルたちが見えなくなると、木の陰から出て来たアヤが言った。
「ホント、綺麗だったね。」
サキも木の陰から出てくると、アヤを見ながら言った。
「あれは、本物のサルではないですね。
恐らく、何かの妖怪が、サルに化けているみたいです。」
タヌ助が、山奥の方を見ながら、言った。
「えっ、それじゃあ、さっきのサル達に。。。」
「ええ、タヌキ大神さまの孫娘、キクナさんが捕まっていると思って、間違い無いでしょう。」
タヌ助が、アヤをジッと見ながら言った。
「じゃあ、どうする?
どうやって、そのキクナさんを助ける?」
サキが、ワクワクしたような顔で、嬉しそうにタヌ助を見ながら聞いた。
「そうですね。。。
キクナさんが、何処に捕まっているか調べて助けに行く、というのも良いですが。
白狐ヶ山は広いですから、捕まっている場所を、探すだけでも大変です。」
タヌ助が考えながら言った。
少しして、タヌ助は何か思いついたらしく、アヤとサキを見た。
「とりあえず、旅館へ戻りましょうか。」
そして、少し笑みを浮かべながら言った。
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