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「ふっ、ふっ、ふっ・・・、はっ、はっ、はっ。
折角、呪縛から解放されたんだ。
いろいろ、あっち、こっち、行ってから、タヌキ冥界へ行くとするか。
今まで、行きたくても行けなかった所が、いっぱいあるからな。」
タヌ助はそう言うと、クルリと向きを変え、アヤの部屋から出ようとした。
そして一歩進んだ時、そこはタヌキ冥界の、タヌキ大神さまの前だった。
「へっ?
ここは・・・。」
タヌ助は、突然、タヌキ冥界へと連れて来られ、茫然としていた。
「タヌ助よ、何処へ行くつもりじゃ。」
タヌキ大神さまが、ジトっとした疑いの眼差しで、タヌ助を見ながら聞いた。
「もっ、もっ、もっ、もちろん、タヌキ大神さまの所でございます。」
タヌ助は頭を下げると、冷や汗を拭きながら言った。
「まあ、それならば良いが。。。
それよりタヌ助、調べて欲しい事がある。」
タヌキ大神さまはそう言うと、1枚の紙をタヌ助に渡した。
そこには、『白狐ヶ山に関する調査報告書』と書かれていた。
「これは。。。」
タヌ助は、それを見ながら聞いた。
「うむ、その白狐ヶ山には、人間が作った温泉施設があってな、そこの露天風呂に、夜な夜な、妖怪が出るそうなのじゃ。
そして、その妖怪たちによって、我らが一族、タヌキが捕まっているらしい。
それを調査して、もしタヌキが捕まっているようなら、タヌ助に助けて欲しいのじゃ。」
タヌキ大神さまは、とても真剣な顔で、ジッとタヌ助を見ながら言った。
「はっ、解りました。
それで、あの、タヌキ大神さま。
この可愛い娘は、誰でしょう?」
そう言うとタヌ助は、報告書に載っている、可愛いタヌキの娘の写真を指さし、タヌキ大神さまに聞いた。
「それは、わしの孫娘のキクナじゃ。
そして、どうやらキクナが、捕まっているらしい、と聞いてな。」
タヌキ大神さまは、少し青い顔で、心配そうに言った。
「そうでしたか。
解りました、この件、このタヌ助にお任せ下さい。
必ずや、キクナさまを救ってみせます。」
タヌ助は、キリッとした顔で、強く胸を叩きながら言った。
「うむ、頼んだぞ、タヌ助。」
タヌキ大神さまが、真剣な顔で言った。
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