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「アヤさん。
さっき、何気に、『汚い』とか、『醜い』とか、酷い事言ってませんでしたか?」
タヌ助はアヤの部屋に入ると、机の上に飛び降り、アヤを見ながら言った。
「うっ、うん。
ゴメンね、わたし慌てて。。。
でも、タヌ助が悪いんだよ。
急に居なくなったりするから。」
そう言うと、アヤはまた、ギュっとタヌ助を抱きしめた。
「お願い、急に居なくなったりしないで。」
アヤが潤んだ声で言った。
「ええ。
ずっと、傍に居ますよ。」
タヌ助が優しく言うと、
「ずっとはダメよ。
だって、わたしが結婚してもタヌ助が居たりしたら、困るじゃない。
あっ、でも、子育てする時は、居てくれると有難いわね。」
アヤが急に、タヌ助をジッと見ながら、現実的な事を言い出した。
それを聞いて、タヌ助が肩を窄めた。
昼からアヤは、図書館へと出かけた。
今日は親友のサキと一緒に、図書館で夏休みの宿題をする、約束をしていたのだ。
「ねぇ、そういえば、タヌ助は何処へ行ってたの?
タヌキ大神さまの呪縛で、私からは離れられ無い筈だよね。」
図書館へと歩きながら、アヤは、抱いているタヌ助に聞いた。
「実は、今朝、急にタヌキ大神さまから呼び出されて、タヌキ冥界へ行ってきたんです。」
タヌ助が、アヤの顔を見ながら言った。
「えっ、そうだったの。。。
それで、どういった用だったの?」
アヤは両手でタヌ助の体を持ち上げると、ジッとタヌ助を見ながら、興味深そうに聞いた。
今朝、タヌ助は誰かに呼ばれる声で目覚めた。
「タヌ助よ、起きるが良い。」
「うっ、うーん、はっ。
うわあっ、でっ、出たーーっ。
悪霊、退散ぁーーーん!」
タヌ助は急いで両手を合わせると、大きな声で言った。
「何を言っておる、わしじゃ。」
その声を聞いて、よく見ると、タヌ助の目の前には、タヌキ大神さまが居た。
ただし、それは実態ではなく、霊力によって投影されたものだった。
「あっ、これは、これは、タヌキ大神さま。
失礼しました。」
タヌ助は、落ち着くと、タヌキ大神さまにお辞儀をしながら言った。
「うむ。
実は、タヌ助に折り入って、頼みたい事があるんじゃ。
悪いが、直ぐにタヌキ冥界まで来て貰えぬか。」
「はい。。。
ですが、わたくしには、アヤさんから離れられ無い呪縛が掛けられております。」
「それならば問題無い。
先ほど、その呪縛を解いたでな。
では、頼むぞ。」
そう言うと、タヌキ大神さまの姿が消えた。
「ははっ。」
タヌ助は頭を下げながら、返事をした。
そして、タヌキ大神さまの姿が消えると、ニヤリと笑った。
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