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「そっ、そうなの。」

アヤは、ジッとサキの胸を見ながら言った。

「とりあえず、これで胸を隠して。」

サキはそう言うと、アヤにタオルを渡した。

アヤが急いで、タオルで胸を隠すと、お湯に浮いているタヌ助が、アヤの元に流れて来た。


「タヌ助、しっかりして。」

アヤが、タヌ助の頬を叩きながら言った。

そこへ、白いサルが2匹襲い掛かった。

「はあっ、たあーーっ。」

サキは気合を入れると、2匹の白いサルを、続けざまに殴った。


「うっ、うーん、あっ、アヤさん。」

タヌ助が気付いて、アヤを見ながら言った。

「気が付いた。」

アヤが嬉しそうに、タヌ助を見ながら言った。

「アヤさん、さっき、とっても嬉しい物を見たような気がするのですが。。。」

タヌ助が立ち上がりながら言った。

「そっ、そんな事、今すぐ忘れて。

それより、今は、あの2匹をやっつけないと。

タヌキの女の子を助けるんでしょ。」

アヤが、顔を真っ赤にしながら言った。


「そうでした。

よぉーーし。」

タヌ助は、クルリと後ろに回ると、カンフー・アクション・スターに変身した。

「タヌ助、行くよ。」

サキはチラリと、タヌ助の姿を見て言った。

「ええ。」


「はあーーっ、たあっーーっ。」

「ほぉーっ、あたぁ、あたぁ、わちゃぁ。」

タヌ助とサキは、見事に拳を決め、白いサルたちをノックアウトした。

「やったぁ。

タヌ助、サキ、スゴイよ。」

アヤは喜びながら、タヌ助にギュっと抱き着いた。

タヌ助の顔が、真っ赤になった。


タヌ助は元の姿に戻ると、白いサルたちの妖術を解いた。

それは、少し小さな、3匹の白い狐たちだった。

アヤとサキは、更衣室にあるタオルを使って、3匹の狐を縛り上げ、服に着替えた。

少しして白い狐たちが、目を覚ました。

「気が付いたみたいね。」

アヤとサキが、足を開き、両腕を組み、キッと白い狐たちを睨みなら言った。

「はっ、離せー。

おれは無実だ。」

1匹の白い狐が叫んだ。

「何が無実よ。

あなたたちでしょ、タヌキのキクナさんを、誘拐したのは。」

アヤが、とても厳しい顔で、白い狐たちを睨みながら言った。


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