12

アヤとサキとタヌ助は、縛っていた3匹の白い狐をほどいてやると謝った。

「この子たちが、リンゴの良い匂いがする、って言うものですから、分けて貰いなさいって言ったんです。」

ナシャは、弟狐の頭を撫でながら言った。

「わたしたちの勘違いで、本当にゴメンなさい。」

アヤが、ナシャを見ながら言った。

サキは弟狐たちに、リンゴを手渡した。

弟狐たちは、それを嬉しそうに食べ始めた。

「いえいえ、良いんです。

どうせ、また、この子たちが、無理やりリンゴを取ろうとしたんだと思いますから。」

ナシャはそう言うと、弟狐の頭を軽く叩いた。


「ナシャさん、それと皆さん、少し待ってもらえますか。」

タヌ助が、とても真剣な顔で言った。

「えっ、ええ。」

ナシャは、弟狐の頭を撫でながら返事をした。

いつの間にか、弟狐たちは、ウトウトしていた。


タヌ助は、ナシャたちに背を向けると、アヤとサキを近くに呼んだ。

「アヤさん、サキさん、これはちょっとしたピンチです。」

「えっ、なんで?」

アヤが不思議そうに聞いた。

「良いですか、わたしたちはタヌキ大神さまの孫娘の、キクナさんを助けに来た筈です。

しかし、キクナさんを助ける必要は無かった。

誘拐されたというのは、タヌキ大神さまの、勘違いだったわけですから。」

「まあね。

でも、それなら、メデタシ、メデタシ、で良いと思うけど。」

サキが、タヌ助を見ながら言った。


「いえいえ、全然、良くありません。

このままでは、今までのわたくしたちの苦労が、無かったことにされかねません。

サキさんの、『平らな地平の胸』晒し攻撃も、

アヤさんの、『ノーガード全裸解放』も、

全てが無駄になりかねないです。

そこで。。。」

タヌ助はそう言うと、更にアヤとサキに顔を近づけ、声を潜めた。

「ナシャさんに、一肌脱いでもらいます。」

「一肌脱ぐって、タヌ助、何かエロい事考えてない。」

アヤが少し顔を赤くしながら言った。


「ここまで来たら、エロいとか何とか言っている余裕は無いのです。

ナシャさんは狐ですが、幸い、タヌキ大神が好きなタイプの、プロポーションと顔立ちをしています。」

タヌ助がそう言うと、アヤはピンと来た。

「つまり、ナシャさんをエサに、わたしたちの手柄をアピールするって事ね。」

アヤが、ニヤリと笑いながら言った。

「そうです。

ナシャさんと知り合いになり、連絡先まで入手したとなれば、タヌキ大神さまも、手柄を認めると思うのです。」

「くぅーーっ、さすがタヌ助、腹黒いな。」

サキはニタニタ笑いながらそう言うと、タヌ助のお腹を指先で、ツンツンと突いた。

「グフフフ、ジュル、ジュル。」

タヌ助の涎をすする音が、不気味に響いた。


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