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タヌ助が、サキに投げ飛ばされ飛んでいると、眼下にあの白いサルたちが見えた。

「フフフフ、来たな。」

タヌ助がそう言って、ニヤリと笑うと、タヌ助の姿が消えた。


タヌ助は、ある程度アヤから離れたため、呪縛により、アヤの元へと戻された。

「アヤさん、サキさん。

あの、白いサルたちが来ました。」

タヌ助は真剣な目で、アヤとサキを見ながら言った。

「いよいよ、だね。

アヤ、ちょっと貸して。」

サキはそう言うと、アヤが持っているタオルを取った。

「えっ、あっ、サキ、ダメ。」

前を隠していたタオルを取られ、アヤは恥ずかしそうに言うと、急いで両手で前を隠した。


サキは、アヤのタオルを胸に巻き、自分のタオルを腰に巻いて、しっかりと結んだ。

そして立ち上がると、

「これで良し、さあ、いつでも来い。」

気合の入った声で言った。

「サキ、それ、もう、アマゾネスになってる。」

アヤが恥ずかしそうな顔で、サキを見ながら言った。


「サキさん、少しジッとしていて下さい。」

タヌ助はそう言うと、右手をサキのお腹に当てた。

すると、そこが少し明るく光り、温かくなった。

タヌ助が手を離すと、サキのお腹に綺麗な模様ができていた。

「それは、わたくしたちが使っている、戦闘用の紋です。

それで、相手の動きがゆっくりに見え、体力の消耗を押さえる事ができます。」

「タヌ助、ありがとう。」

サキがそう言うと、タヌ助は笑顔で、軽く右手を挙げた。

そして、両手を合わせると、目を閉じ、ギュっと力を込めた。

みるみる、タヌ助の体が大きく成り、サキと同じ位になった。


「さあ、いつでも来なさい。」

サキがそう言って、決めのポーズを取った時、

「ちょっと、まったぁ。」

アヤが大きな声で言った。

「どっ、どうしたんですか、アヤさん。」

驚いてタヌ助が、アヤを見ながら聞いた。

「2人は戦う気、満々だけど、わたしはどうすれば良いの?

こんな姿じゃ、戦え無いよ。」

「そうですね、とりあえず、湯に浸かって、体を隠して居て下さい。

あのサルたちは、女の子の裸を見ると、襲って来ますから。」

「えっ、それって。。。

ひょっとして、お湯に浮かべたリンゴも、わたしたちも、あのサルたちをおびき寄せる為のエサだったの?」

アヤが、ジッとタヌ助を見ながら聞いた。

「まっ、まあ、そうですね。

人の女の子より、タヌキの女の子を助ける方が、大切ですから。」

タヌ助がそう言ったとき、3匹のサルが柵を越えて、露天風呂に入って来た。


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