第7話 悲しそうな顔
ジョンは、何がどうなったのか、さっぱりわからず、しばらく隠れながら時間を過ごしていたそうです。触手は、体の中に戻っていき、どういうわけか、銃で受けた傷も治ってしまいました。ホラー映画のように、出血がすぐ止まり、だんだんに弾丸が体の外へ押し出されて、傷が塞がっていきました。悩まされていた調子の悪さも無くなっていました。
さらに何かが進行しているのをジョンは感じて、いろいろ、考え続けたそうです。
・不思議な石を追って来た男がいた
・男は石に執着していた
・男は何かの生物に取り付かれていた?
・なぜ男は石を取り戻そうとしたのか?
……
・男は銃で撃たれても起き上がってきた。
・自分も何かの生物に取り憑かれた?
そう、銃で何発も撃たれたのに、謎の男は起き上がってきた。自分も同じように、銃撃されたのに傷が治ってしまった。どういうわけか、異常な回復力を持ってしまったらしい。
しかし、彼はそのあと、男がどんなふうになったかを思い出しました。
銃撃を受けたあと、男から、植物のようなものが生えて、男はミイラになって死んでしまった。
ジョンは、自分もあの男のような死に方をするのではないかと思いました。考えるだけで、恐ろしい事でした。
ジョンは、考え続けました。どうやったら、助かるか。
ジョンは考えに考えて、この化け物は、何らかの寄生生物ではないかと思いました。
ジョンは、男が「あの石が無ければ、草に自分は乗っ取られてしまう」と言っていたのを思い出しました。男が言っていた事が、正しければ、石を手元に置けば、この生物に乗っ取られずに済むかもしれない。わけのわからぬ理屈でしたが、そんなものにも、すがりたい気持ちだったのだと思います。
そして、ふと気が付いたそうです。この忌まわしい生物の仕業で、哀れな男は、意図せずに人を殺してしまったのではないか。
この生物は、宿主が生きている者に直接触れると、そちらにも侵入しようとするらしい。寄生対象に侵入しようとしているものを、それを無理やり引き抜いたとき、それが、急所の場合は、ダメージが大き過ぎて入り込もうとした相手を死なせてしまう。
自分が警官を死なせたように。そんな事を繰り返したのではないか。
だから、あの男は「誰も殺したくなかった」と悲しそうな顔で言ったのではないか。
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