カクヨムにはたまにとんでもない天才がいるからやめられない

KACのお題「日記」からこんなに素晴らしい物語が生まれるとは……これが創作だなんて信じられません。NHKのドキュメンタリーを一本見終えた気持ちです。

生まれてからの一生を刺繍にして綴っていくセマザサ族。見たもの聞いたもの、そして祈るものを刺繍にして綴っていく、その布はまさに人生を記録した日記そのもの。
途中で刺繍が荒くなった部分で子から親に受け継がれたことがわかるとか、悪い精霊の刺繍は守りの刺繍で覆ってしまうとか、本当にこの民族がどこかにいてそれぞれの物語を紡いでいるかと錯覚してしまうほどです。

セマザサ族の研究者である「私」が、雪の山と呼ばれる人物の思い出と共に語られていく民俗学。
ラストの切ない余韻が、この作品を美しく彩っています。

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