作者様の溢れる知識でわかりやすく描かれる中世ヨーロッパ。
- ★★★ Excellent!!!
鳳翼下の雛まで読了したレビューになります。
現世で農業高校の教師をしていた30代の女主人公は、教え子カップルを庇って馬に蹴られて中世ヨーロッパに転生してしまいます。始まりがシュール過ぎてもう面白いです。
そして肝心の転生先ですが、中世ヨーロッパ「風」ではなく、中世ヨーロッパ。魔法も便利な道具もご都合主義もない、不便極まりない中世ヨーロッパ。しかも男の子の赤ちゃん、ジャン=ステラに転性。きっと、第1話の一行目で吹き出すことでしょう。
ステータスオープンはできないし、ファイアーボールも出ない。だって異世界じゃなくて中世ヨーロッパだもん。
そんな世界で2歳になったジャン=ステラはピザが食べたくなってしまいました。でもまだアメリカ大陸は発見されてないし、トマトもない!こうなったら自分で大陸を目指そう!そして預言者と神託を受けた前世の記憶持ち2歳児による知識チートが始まる……!
というところなのですが、知識チートと言っても小難しいことはなく、全て身近に思えるちょっとした知識です。トリートメントを作ったり、テディベアを作ったりじゃんけんを教えたり。ものすごい深い知識でなくても無双できる。これこそ知識チートなのではないでしょうか。
でも、作者様の描く中世はとてもリアルで、まるで教科書を読んでいるみたい。書く側の知識があってこその知識チート。でも読者が置いて行かれないようにところどころクスリと笑えるポイントを作ってくださっているのもありがたい!
歴史小説が好きな方や、中世ヨーロッパイメージの異世界を書く人にも参考書としてお勧めしたい作品です。ぜひご一読ください!