陰陽

 透き通った宝玉に光が通る。たしかに宝玉は輝くが、かすかに影もできる。その影も含め、宝玉の輝きは人の心に焼きつく。

 毒味役は裏舞台の人間そのものだ。ある意味で、自分の人生を丸ごと一生日陰に置き続けねばならない。

 主人公は、一見やさぐれて投げやりなようでいながら誇り高い本物のプロ意識の持ち主である。

 たぶん、不運にも処刑された国王は善良でお人好しな、誰にでも愛される人間だったのだろう。毒味役は、だからこそ精一杯の忠義を尽くしたのだろう。

 司馬遷の史記に登場してもおかしくない、太陽をも圧する流星のごとき物語であった。

 必読本作。

 

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