第5話 真実に近づいて1
五十嵐勝利君(12)が行方不明になってから1ヶ月後の11月30日の事
母の五十嵐裕子と霊能者である木村冴子は最初の行方不明者が出た赤井村へ足を運んでいた。
村の駅は木造で出来ていて所々に落書きがあり、柱は少しだけ黒ずんだ所があった。
階段を上り下りすると小さな改札口1つが二人を出迎えた。
改札口を出ると自動販売機が1つと3人がけ用の古い椅子があった為、そこに二人は座り、缶コーヒーを買って打ち合わせをはじめた。
裕子 はぁー、街と違って静かで良い所ですねー!
木村 本当ね?空気も美味しいわ♪
そっれじゃ~、確認です!今日の段取りは覚えてますか?
裕子 もちろんよ♪アタシは冴子さんの助手。村の駐在所へ行って話しを聞く。
でしょ?
木村は両手で小さく拍手をして笑顔で、話した。
木村 ピンポーン♪ピンポーン♪でも、でも、くれぐれもボロが出ないように感情は抑えてくださいね♪それから、質問は最小限にお願いします。
裕子 はい!絶対に余計な事はいたしません!
真顔で話す裕子の顔を見て二人は笑いながら駅を出た。
駅を出ると左右に道が延びていて、左の道には田畑と電柱が山の方へ向かって広がっていた。
一方、右の道へは一軒家が二棟、間隔をあけて建っていた。
そこで冴子が、メモのような紙を胸ポケットから取り出すと右を指差して誘導した。
冴子 こっの先に~、あっ見えた!あれですよ♪裕子さん!
二棟あった一軒家を通り越して真っ直ぐ進み無人販売の野菜所を過ぎると大きな木が二つ見えてきた。その反対側に面した場所に駐在所があった。
駐在所の前では警官服の男性が笑顔で、手を振りながら出迎えてくれた。
お話しは本署から頂いています!どうぞ、どうぞ、お座りください。遠い所をようこそです。あっ、私、新しい田んぼと書いて新田と申します。よろしくお願いします。
冴子 こちらこそ、よろしくお願いします。
新田 お茶とコーヒーがありますが、どちらが良いですか?
冴子 あっ、お構いなく。駅で頂いてきましたので。それで、行方不明者の件をお話ししたいのですが?
新田 はいはい。ちょっとお待ちくださいよー。実は昨日ですね、心臓発作で子供が一人、亡くなってしまって!他の署員はそっちを調べに行ってしまったもんで、しっかりと用意が出来とらんのですよー。本当にごめんなさいねー。
と話しながら、机の引き出しから書類の束を出し、二人が座っている前の机にバサッと置き、胸ポケットから手帳とペンを出した。
冴子 心臓発作ですか?
新田 んっ?おー、昨日な!
冴子 行方不明じゃなくて?
新田 おっ、興味がありますか?
冴子はこの時、何かを感じとっていた。
冴子 よろしければ、お話しください。
新田 さすが、探偵さんだ!
当事者は村田良樹くんと言って10歳の男の子。
死因は話した通り、心臓発作だ。学校のストレスなのか、家庭に問題があったのか?は分かってないんだがね、現状はストレス性の心臓発作だそうです。
けど、ちょっと不思議でね。教師の話しと子供の話しに食い違いがあるんだ。
とゆうのも亡くなった場所が学校の教室で。
朝、元気に登校してきたと思ったら、教室で急にバタッ!だそうだ。
んで、周りにいた子供達の話しだとこうだ!
良樹 おはよー!
良樹は教室に入るなり、元気に挨拶をして自分の席にランドセルを置いた。
山本 おぅ!良樹!昨日、電話に出れなくてごめんよ!で、用事は何だったんだよ!
と、すぐに親友の山本直哉が話しかけてきた。
良樹 おぅ!そうそう、これ!これ、見ろよ!俺、宝の地図を拾ったんだー!
そう話すと良樹はズボンのポケットに手を入れてガサガサとしだした。
そして机に両手をバン!と置いた。
良樹 ジャーン!これ~♪
山本 はぁ?なんもねーじゃん!
良樹 お前、目、ついてんのかよ?机の上に置いてんじゃん!
そこへ田村とゆう少年も来て、
田村 おっはよー♪なになに?どした?
山本 いや、良樹が変なんだよ。タム、机の上に何かあるの見えるか?
田村は机に顔を近づけてジッと見た。
田村 ん~?ホコリ?笑
山本 それなー!笑
二人が大笑いしていると村田良樹は机を見つめながらブツブツと何か言い出した!
すると良樹の姿がパッと教室から消えたのだ。
それから1時間後、授業中に良樹の机の方からドンッと大きな音がなり、全員がその方向を向いた。
そこには顔面蒼白の村田良樹が、倒れていた。
・・・
新田 と言うのが、周りの子供達の話しだ。まぁ、子供の言う事だしな!
半分、笑いながら話す駐在所の新田へ真顔で冴子が、質問をした。
冴子 それで、良樹くんのご遺体は?
新田 あー、それなら、村の安置所にまだあるよ。明日、火葬して葬儀だと聞いてます。
冴子は急に立ち上がり、裕子に声をかけた。
裕子さん、行くわよ!新田さん、また別日に来ます。
本日はありがとうございました。
あっ!安置所はどこですか?
新田はまた、机の上をガサゴソやると村の地図をコピーして赤ペンで印を付けると冴子に渡した。
新田 バスがあるから使うと良い!
その様子に裕子は何が何やら分からず立ちすくんでいた。
その手を冴子は摑むと新田に丁寧にお辞儀をして駐在所を出た。
来た道とは反対に100メートル程、進みバス停の待合いに座ると息をきらした冴子がゆっくり話し出した。
急にごめんなさい。い 遺体があるなら、
あ あたし 話せるの!だ、だから。
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