第11話 今昔物語
父親の木村修一から突然の電話があり、久しぶりに実家へ帰宅する事にした冴子。
実家の神社は山と谷に囲まれた山間の中心にある歴史ある神社である。
歴史ある神社ではあるが周辺に住む人にしか知られていないマイナーな神社だ。
冴子が駅から出ると早速、迎えが来ていた。迎えに来たのは父親の弟にあたる叔父だった。
冴ちゃん久しぶり!独り暮らしはどうだ?
冴子 不自由ないかな~?♪
何気なく会話をしながら、山を車で登っていき、霧が出る林を抜けて山間の橋を渡り終えると建物や田畑が徐々に見えてきた。
冴子 うわー、懐かしい♪変わらないね!コンちゃん、まだ元気かな~?
叔父 コンちゃん?あー、狐神様の事か?
冴子 うんうん。叔父さん、見えるんだっけ?
叔父 いやー、俺は見えん。
けど、母親から良く聞いたよー。絵も書いてもらった。
冴子 おばあちゃん?また、会いたいわ~
とか、話していると実家の神社へ着いた。
車の音で、すぐに出迎えたのは冴子の母である木村陽子。
神社のすぐ横にある古い木造の家へ入っていき、冴子と母は祖母と祖父が眠る仏壇の部屋へ行き手を合わせた。
すると冴子の後ろから声がした。
冴子、おかえり。
おばあちゃん♪ただいま。
仏壇の前でブツブツと話す冴子に母が声をかけた。
冴ちゃん、また、おばあちゃんと話してるの?
終わったら台所にきなさい。
冴子 うん♪
おばあちゃん そう、そんな事があったの?それならね、樹海に行きなさい。
あら、そろそろ私も戻るわ。冴子は台所に行っておいで。
また、話そうね
と言うと、おばあちゃんはスーッと消えていった。
そして、台所に行くと父と母が待っていた。
冴子 お待たせ~。それで、お父さん、電話の件だけど?
父 うん。とりあえず、これを読みなさい。
父は古い木箱を開けると中に入っていた巻物を取り出し見せた。
中には、鬼のような絵と捕まっている人間の絵がかかれていた。
冴子 うん。神隠しの絵巻でしょ?
父 そうだ。じゃ、これをどう見る?
冴子 うーん。どう?って鬼が人間を捕まえて連れて行く様子?じゃないの?
父 では、元来、鬼とは何だ?
冴子 人の欲望でしょ?醜い心。
父 それは間違えではない。
しかし、正解でもないのだ。これはな、母、つまり、お前のおばあちゃんから聞いた話しだ。神様の中にも鬼が存在するらしいのだ。それを鬼神と呼んでいたらしい。
そこで、思い当たるのは何だか分かるか?
冴子 思い当たる?ってアタシの知ってる人?
父 狐の神は、何も教えてくれなかったのか?風神様と雷神様だ。
冴子 んっ?
冴子はしばらく考えた。
あー、確かに絵では神様なのに鬼の顔をしてるわね!
父 うん。では、一つ昔話しをしてやろう。
平安時代の頃、貴族の中に跡目争いがあった。そん中、とある貴族の娘は、子を宿せぬ身体であった為、誰からも愛されず、夫になる予定であった主は他の娘と結婚をした。
更に、家も追われる形となった。
そこで、貴族の娘は鬼神様、つまり風神様に人さらい、つまり、その主の子供を誘拐する事をお願いしたのだ。
すると、次の日、子供が消えるとゆう事件が起き、貴族達は必死に捜した。が、結局は見つからなかったのだ。そこで、最後は神様に必死に毎日、お祈りをする事にした。
すると、5年後、子供は当時の赤子の姿で戻ってきたのだ。
しかし、時は既に遅く、その貴族には別の子供がいた。
その為、その赤子は残念ながら、殺されてしまった。
そんな話しがあってからは、他の家々でも子供が行方不明になるとゆう事があった。
しかし、それは子を宿せなかった女が仕組んだ事であった。内密に山賊を雇いさらっていたのだ。嫉妬や恨みが相当に強かったのだろう。
その様子を描いたのがこれだ。
父がもう1枚の巻物を広げた。
父 こっちが鬼神様が神隠しをしたご様子。
で、こっちが人が神隠しの真似事をして、人間が仕組んだ人さらいの様子だ。
冴子 これって絵が、とてもそっくり!
父 うん。一目見ただけでは、分からん!どちらも鬼として表現されている。
本来の神様はな、理由があって一時的に、その子を守る為に親から隠したりをする。
しかし、これはどちらも違うのだ。
そこで、憶測だか、今回の事件には人が絡んでいるのではないか?と父さんは思っている。
冴子 でも、アタシが連れ戻した子は天界にいたのよ?
父 狭間世界の事だな。うん。恐らく、その神は人と組んでいる。昔のように。今と昔、似ているように思わないか?
そこに突然、長い髪の毛から狐の耳をはやした少女が現れた!
修一の読みは、さすが鋭いの!主神様もびっくりじゃ!
冴子 えっ?コンちゃん?
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