第14話 風神
樹海のどの辺りかも分からない奥深い場所には祠が1つあった。
その祠の周りの空気は天界に似ていて、異様な気配が漂っていた。
が、周りの景色はうって変わって光に包まれた清々しい場所であった。
その、古びた祠の両開き扉を良く見るとお札が無造作に目一杯、貼り付けられていた。
そこへ冴子とコンが近づき、先ずは手を合わせパンパンと柏手を2回鳴らした。
すると、貼り付けられていた御札がパタパタと風を受けたかのように動き出し、冴子達に向かって飛ばされてきた。
次の瞬間、身体が飛ばされそうな風がブオーッと音を立てて1度、吹き、祠の中から声がしてきた。
何やつ?
それを聞いたコンは片膝を地面に付け頭を下げ、冴子もつられて真似をした。
これは、これは珍しい客人だな~?
この気配、玉藻か?
コン はい♪アタシです。
顔を上げーい
二人は顔をそっと上げた。それを見た冴子は驚きの表情でいっぱいだった!
祠から出てきたのは、どう見てもイケメンの侍だったのだ。
冴子 えっ?誰?
我が名は風神。と人間からは呼ばれておる。
して、お主は?
冴子 えっ、アタシ?アタシは冴子と申しまっする~?
コン 冴、風神様の真似はせんで良い!
それよりも本当に玉藻か?何故にそう、チンチクリンになったのだ?
前はほれ、もっと胸がはち切れていたではないか?
コン 風神様、コレは、仮の姿にございます。(って前に会議であってるでしょ?確か?忘れたのか?)
冴子 チンチクリン笑
コン 冴、聞こえておるぞ!
冴子 ごめん!だって笑
それよりも本当にこの方が風神様なの?だって絵と全然、違うじゃない?
二人の会話を聞きながら風神は腰の刀に手を置きながらニコニコとして眺めていた。
コン 昔の人間の書いた物じゃ!書いた人間にはあー、見えたんじゃろて?
風神 んっ?拙者、変か?
コン いえ、風神様のお姿が人のイメージと違いすぎていたようで、驚いておるのです。
風神 おー、あの絵か?それなら、スマホと言う物で見たぞ!
冴子 スマホ?
風神 充希殿、出て参れ!この人間は大丈夫でゴザルよ。
冴子 充希?
すると、祠の中から少女の声がした!
もう少し、もう少しでクリアー出来るの!待って~♪
冴子とコンは顔を見合わせてヒソヒソ話しをしながら混乱をしていた。
そこへ充希とゆう少女が出てきた。
髪の毛は後ろで結んでいて、長袖のニットにミニスカートで片手にはスマホを持って、祠の階段をヒョイとジャンプしてきた。
コン 風神様?これは、いったい?なぜ、人間の子が?しかも、この領域でピンピンしているなんて!
風神 驚いたか?無理もない。この子は、拙者が連れてきた。赤井村とゆう場所でな、親に捨てられ困っていたのだ。
冴子 赤井村?!
充希 はじめまして。須藤充希です。
冴子 はじめまして。木村冴子です。
コン で、でも、何で?我々は人間のいざこざには関与せぬはずでは?
風神はオホン!と一つ咳払いをして、階段に座った。
恥ずかしながら、地図を落としてしまい、充希が拾ってしまったんでゴザルよ。
コン ガハハハハ~♪ご、ごめんなさい!腹がよじれそうじゃ!ふ、風神様が!風神様が~笑
冴子もつられて大笑いをした。その笑い声は樹海中に響き渡った。
風神様 これ、笑いすぎでゴザル。いや、これも運命と思い、今では充希は我が娘のように思うておる。
充希 風神様、大好き♪
冴子が笑いをやめて真面目な表情に変わると話しはじめた。
冴子 ちょっと待って!アタシの聞いた話しと全然違うわ!確か、充希ちゃんって言えば、最初に神隠しにあった子のはずよ。それに、そのお母さんは凄く心配をしていて、毎日、充希ちゃんを捜していた。って聞いたわ。
充希 あー、やっぱり!うちの母は、いつもなんです。良いのは外面だけ!
家では、アタシを殴る蹴るで。もう、嫌になっちゃって!ずっと悩んでいた時に風神様に出会えたんです。だから、今もここにいます。
冴子 そう、だったの。でも無事で良かったわ~♪それで、他の人は?
充希 アタシ、一人ですよ?
風神 やはり、模倣で悪さを働いている者がおるか!玉藻は例の件、知っておるの?
まぁ、しかし我の失敗が招いた事。必ずや、見つけだすでゴザル。
コン はい。その調査を冴子としていますのじゃ♪
冴子 あの、気になるんですが、その地図は簡単に作れる物なんですか?てゆうか、充希ちゃんは何で地図に触れても大丈夫だったの?
充希 風神様がすぐに助けてくれたから♪風のように早いんですよ!
風神 地図は神であれば作れる。が簡単には作れぬ。玉藻は作れるのか?
コン いえ、アタシも無理です。見てください。500年前に頂いたので。今ではボロに!新しい物が欲しいのー♪なーんて。
風神 それなら、猿神に会うと良い♪あれは器用な奴でゴザルよ。
コン おー!しかし、あの猿はちとエロいからのー。
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