第6話 霊能者とは?
バス停について30分後
目当てのバスがボン!ボン!と壊れそうな音を立てて縦に揺れながら近づいてきた。
二人がいるバス停の前でキーッと機械音を鳴らして止まるバスに乗るとお年寄りが1人だけ乗客として乗っていた。
二人がバスに乗り込むと運転手が話しかけてきた。
どちらまで?
冴子 安置所までお願いします。
まもなく出発いたしまーす♪と運転手が声をあげると緩やかな音楽と共に女性の声でガイダンスが流れ出した。
本日はご乗車ありがとうございます♪
当バスは大変に揺れて危険ですので、席にお座りいただきますよう、お願いします♪
そのアナウンスを聞きおわり、バスが走り出した時、裕子がようやく口を開いた。
裕子 冴子さん?さっき、話してた遺体と話せる。って、どうゆう事なの?
冴子 話すと長くなるわよ?しかも、多分だけど混乱するわ?それでも良い?
裕子はゴクリとツバを飲み込みうなずいた。
冴子 うん。あのね。実際には話せるんじゃないの。聞くのよ。
裕子 聞く?
冴子 そっ。記憶を読むの。生き物はね。微量な電波を発してるのは知ってる?
裕子 あー、静電気とか?
冴子 まぁ、そんな感じね。
で、人の発している電波は生き物の中でも強いのよ。オーラ。と呼ぶ人もいるわ。
あたし達、霊能者はそのオーラを整えてあげるのが本来の役目なの。その為に依頼者の人となりを見ていくの。
幽霊ってね。そうゆう電波の固まりなのよ。残留思念とも呼ぶわ。
その想いや記憶をアタシは強く見れるの。そして、整える方法も勉強してるの。
映画みたいにさ、かっこ良く悪霊退治とかはしないわ笑。実際には、強い想いを弱めていってあげるのよ。
つまり、今からやるのは、その記憶を見聞きする事をするの。
だから、身体がご遺体が無いと読めないのよ。それから、コチラの想いも思念に乗せて伝えてあげるの。例えるなら、スマホのメールみたいなものね。
裕子 あっ、わかりやすい♪じゃ、塩とか、あーゆうのは?何であるのよ?
と話していると、目的地に着いた。
二人がキップとお金を渡し降りると、また話しだした。
冴子 道具ね?ほら、人は目に見えない物を恐れるでしょ?
だから、その気持ちを目に見える物で落ち着かせてあげるのよ。
そうする事で、見える側の力が弱まって見えなくなるのよ。念仏も一緒で目をそらさせてあげるのね。
そうやって、調整してあげるのが、私達の役割よ。
裕子 じゃ、息子は?
冴子 神隠しね。身体ごともっていかれるのは凄くレアなケースね。平安時代とかには良くあったみたいだけど。
あれはね、本当に神様の仕業だとされてるわ。
神様の天罰と霊的な現象は別物よ。
平安時代では、神隠しを鬼の仕業だと一般的には伝えてあるわ。けど、本当は違うの。
神様との約束を守らなかった人間が罰を受ける事なの。でも、それだと罰を受けた人の家族が宗教の人を責めて斬り殺しちゃうでしょ?
だからね、鬼とゆう空想の生き物を作って広めたのよ。
裕子 へー。って、じゃウチの子は、約束を破ったって事?
冴子 んー。それを今から遺体から聞くのよ♪
裕子 なるほどー!
などと話しながら歩いていると鼻をツーンとさせる臭いを放つ全体がコンクリートの建物の前に着いた。入り口付近には警備員が立っていて、その奥に数台の霊柩車が止まっているのが見えた。
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