3 馥郁たる【匂い立つ】

 彼女は毎回異なる香りをまとって研究室にやってくる。

「君からはいつも違った匂いがするね」

「先生はどんな匂いがお好きですか?」

「よくわからないが……今日の匂いは好ましいと思うよ」

「じゃあ、これからはこの香りを使います」

 そう微笑む彼女の匂い立つ色香に充てられて、年甲斐もなく胸が跳ねた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る