116 幸か不幸か【後は野となれ山となれ】

 姉は将来を期待された独唱者ソリスト。親は姉にばかり目を向け、私には関心を示さない。

 しかし、初コンサート当日に姉は会場から消えた。

 親は焦りに焦り、何を考えたかよく似た私を姉に仕立てて舞台に立たせた。

 後は野となれ山となれ、と思うままに歌った声が、天使の声と大絶賛される。

 世界が変わる音がした。

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