118 気力の限界【夜通し】
俺は山道をただひたすら歩く。
今さら引き返すことはできない。
嫌でも先に進むしかないのだ。
夜通し歩き続けていると、だんだん視界が明るくなってきた。
夜明けだ。
「いつまで寝てるの。朝よ」
妻の声がする。
「俺は休まず歩いてきて……」
「寝ぼけてるの? 早く起きて!」
「えぇ」
全く休んだ気がしない。
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