人を食べてはいけません

社会の規範から外れた行いに魅入られてしまった人間が、そう至るまでの切り込み方と過程の詰め方が真に迫る物があって読み応えがあった。連綿と続く欲望の成就を妨げる世界に対しての不平不満を垂れながら、やがてそのブレーキが効かなくなるまでを含めて、ですね。食欲と性欲は等しく語られがちですが、咀嚼周辺の描写はそうした生々しさを覚えるそれだったとも言えます。