「禁断」に潜る

人肉食という禁断のテーマ。

現実には、南方の戦線、航空機の墜落、遭難などの極限状態で起きたとされ、一部の未開の民族や、中世のヨーロッパの逸話としても語られる。
それらはただ忌まわしい、悲しい、理解しがたいものとして描かれるだけだ。その中で、20世紀のヨーロッパで日本人青年が恋人を食した事件だけは、異質だった。

長年、多くの感受性豊かな人々にとっての謎。

愛する者を食べるとはどういうことなのか?

そのテーマに踏み込んだのが、この小篇。

わたしはこれを読んで、自分の世界が拡がったように感じました。

繊細な描写が光る傑作だと思います。

その他のおすすめレビュー

雪平つつさんの他のおすすめレビュー80