概要
——それが、君の林檎なのか?
一緒に、探して欲しいんだ。
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- ★★★ Excellent!!!芸術が死んでいく瞬間
愛を演じる物語。
詩の読み方で読ませることが前提の小説だなと思いました。言葉の意味の繋げ方というか、文節と文節の隙間にある香気を伝えようとする書き方に、非常に近現代詩的な方法を感じます。
共感性の高い状態から、失う。文也の持つ感覚は人間とは同一ではないのですが、人間よりも鋭敏ではないかと思われる部分もあれば「分かりっこない」部分もある。その共感性の高い鋭敏な部分ですら頼りにならなくなることで、この物語は始まったのだと思います。
文也は幾度も試行を繰り返す中でオリジナルの演技に近づいたがゆえに遠くなり、望みを絶たれたのではないでしょうか。別にそう直接的に言及されているわけではない…続きを読む - ★★★ Excellent!!!何度繰り返しても辿り着くことのない正解
昔の映画の名場面を再現しようとする、あるいはさせられる、AIの役者さんの物語。
読み口は非常に静かながら、でもとても尖った内容のSFです。
まるで詩や歌でも歌うかのような独特の文体、不思議なリズム感のある文章がとても特徴的。
視点はどこまでもミクロというか、目の前の演技と自己の内面だけにクローズアップされていて、ひたすら同じことを繰り返す様子が印象深いです。
いわゆる「哲学的ゾンビ」とか、あとは「クオリア」などの概念にも(それそのものではないと個人的には思うものの、その辺を連想するという意味では)通じるかもしれない物語。
バリバリ滲む独特の感性というか、何か強烈な世界観のよ…続きを読む