気持ち悪い

屍術師と死者を巡る終戦までの(終わりある)日々。
語られる物語の内面は端麗で耽美でこそあるが、刻まられる文字群を目にして、あるいは目で追って、抱く感情を一言で完結させるなら『気持ち悪い』だ。
だから素敵滅法な訳で、ルビが逐一挿入される忙しないタイミングの数々まで含めて、文章のスピード感を調整してるのは手法として痛快で、物語(それ)だけを切り取ればよくあるような話に独特の読み味を演出しているとも取れるのが面白い。その手法と物語がそれぞれ独立していてちぐはぐかと言われればそんなこともなく、ジャストとは言わずとも融和性のある重ね方が印象深かった。