思春期の人間達に偏在する、自身の人としての中身の無さを『空洞』として称する本作は、決して劇的とは言えない日常の経過に頭を悩ませる等身大の少女の葛藤が描写されていてなかなかに良かった。肉体的.精神的な意味合いを持たせて語られる空洞に対する所感の数々は等しく地に足着いており、一風変わった設定の妙で読者を置き去りにしない仕草は嫌いではない。
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