三人の女性から向けられる愛 誰の手を取れば、僕は幸せになれるのだろう
日野樹希は、母親が嫌いだ。唯一の肉親の母親から、まるで物のように完全に支配され、飼育されているかのような日々を余儀なくされているのだからそれも当然だろう。厳しすぎる門限、全て任せられている家事、毎日義務づけられている実の母親への奉仕。幼い頃から実の母親の理想を押し付けられ、常に母親の言いなりだった樹希は、自分自身の事を何一つ自分で決める事が出来ず、トラウマを抱えながら常に自分の心を殺して生きて来た。だから樹希は母親が嫌いで、それ以上に、自分を支配する母親が恐ろしかった。 日野樹希は、同級生が嫌いだ。樹希が皆と遊ばないのは母親のせいだ。樹希の家が裕福なのも母親の仕事の結果であり、樹希には関係ない。それなのに、同級生たちは樹希をノリが悪い、金持ちだから気取ってる、性格が悪いと陰口を言い、厄介者扱いする。だから樹希は同級生が嫌いだ。 そんな樹希が唯一頼れるのは、幼い頃から一緒にいてくれた幼馴染だけ。 彼女のおかげで、壊れそうになりながらも樹希は何とか生きて来た。だが、高校三年になる頃、樹希はもう限界だった。 母親の鳥籠の中で支配され続ける生活に疲れ切っていた。そんな樹希に、手を差し伸べてくれたのは――担任の女教師だった。
注:結末は人によって解釈が変わると思われます。ハッピーではないと感じる方もいらっしゃるでしょう。読む前にその点ご留意のほどお願いいたします