【閑話休題】寡黙だった私は日記療法を受けていた

 2022.3.17(24歳)


 今こうして、5年前の日記を掘り起こしてインターネットに公開しているわたしは、全く寡黙ではない。

 サークルの会長や大学の学生代表だけでなく、「生きづらさ」を抱えた経験を生かして支援者に回った経験を、登壇やインタビューで話す機会もある。


 しかし、2017年当時のわたしは、ほんとうに話すことが苦手だった。

 あまりにも話せないので、精神科治療に支障が出ていた。


 治療をしたい気持ちはあるのに、個室で医師と2人きりになると、なぜか記憶がぐわんぐわんになってしまう。

 これでは何年診察をしても終わらないので、主治医は痺れを切らして「今悩んでいること、困っていることを、紙にまとめてきなさい」と言った。



 まとめてきた紙を読んだ主治医は、わたしの1人目のファンになった。


「こんなことを考えていたのか」

「君は面白い文章を書くね」

「将来は作家やライターになればいいじゃないか!」


 本気で言われていた。

 教わっていないのに、生まれて初めて、文章を褒められた。

 きっと「面白い」のは、言語障害の母が言葉を教えられなかったせいだが。


 こうして、わたしは治療の一環で日記を書き始めた。

 日記は合計500ページ以上、寛解するまで書き続けた。



 そして、わたしの将来の夢は「本を出版すること」になった。

 今春の就職活動でもそう話して、とある企業に内定をいただいたのであった。

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