その4 百円硬貨七枚の謎

 居間に行くと、父が小難しい顔でテーブルを睨んでいた。あの父が考えごと? 私は後ろからそっと覗き込んだ。

 気づいた父が慌てて卓上を手で覆う。けれど時すでに遅し。見えたのは、何の変哲もない百円玉が七枚。

「百円玉がどうかしたの?」

「え、何のことだす?」

 語尾が崩壊している。怪しい。

「しばらく口きかないけど、いい?」

「本当にすいませんでした許してくださいプレゼントのお金です」

 お小遣いが余ったので私へプレゼントを買おうとしていたらしい。で、何にしようか悩んでいたと。

「それ、お金隠す意味なくない?」

 プレゼントなんて、百円玉から想像しようがないだろう。

「ほんとに意味分かんない」

 そう言って、私は父の首に抱きついた。

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