その16 初日の出を見よう

 鷹に乗り、なすびを追う。二つの影を照らす御来光――

 目が覚めた。

 薄暗い居間。いつの間にかこたつで寝ていたらしい。もぞもぞ這い出し、向かい側へ。初日の出に起こすよう頼まれているのだ。

 ぐっすりな寝顔に起こすのをためらう。と、その表情が歪んだ。

「このイチゴ頭」

 ……サンリオのキャラか何かだろうか? く、新年早々かわいいな。

 そっと肩を揺する。目を覚ました娘は、俺を見てなぜか一瞬嫌な顔をした。せぬ。

 二人並んでカーテンを開ける。忍び込む冷気に震える肩。東の空、瑠璃色が新年の曙光に染め上げられていく。

「わあ」

 素直な感嘆に、こちらの顔までほころんでしまう。

「すごい」

「な」

 今年も、娘にとっていい年でありますように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る