第七話 一日の終わりに〜涼華の想い〜
時刻は夜の九時。
平穏な一日が終わっていく。
六花はベッドの中で読書をし、鈴はスマホでゲーム実況動画を見てゲラゲラと笑い、理沙はもう夢の中だった。
涼華は――――。
「鈴……可愛い……」
スマホで撮った鈴の写真を眺めながらニヤニヤしていた。
本人を目の前にするとついキツく当たってしまうが、涼華は鈴のことが好きだった。
きっかけは、学校で孤立していた自分に声をかけてくれたことから。
涼華は鈴のおかげで六花や理沙という友達ができたし、そのことについて感謝を忘れた日はない。鈴のことを毎日想っているうちに、その感情は恋へと変質していった。
それと同時に、この感情が異質であることも理解はしていたため誰にもその気持ちは打ち明けられずに、こうして夜中に一人で鈴への想いを募らせることが日課となっていたのだった。
それはやがて妄想へと至る。
「り、鈴……ダメよ、わたしたち女の子同士なんだから……」
涼華は鈴に迫られる妄想に浸る。
浸り続けること三十分――――。
「ふぅ……」
ひとしきり妄想を終えて満足するが、間も無くして何とも言えない虚無感と罪悪感に苛まれる。
(わたしがこんな子だって知ったら……鈴はわたしのこと嫌いになるわよね……)
だから、この想いはずっと秘めたままでいなくてはならない。
何年後か、もしもいつか鈴に彼氏ができたとしたら、冷やかしてやるのだ。そして陰で泣けばいい。
――――友達としてでも、ずっと一緒にいられるように。
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