第六話 永遠の二番手

 雨宮涼華。

 永遠の二番手と呼ばれる女。


 帰り道、四人は今日あった出来事などを話す。

 今日の話題は算数のテストについてだった。


「六花、そっちのクラスも算数の小テストあったんでしょう? 勝負よ!」


「別にいいけど」


 涼華は勝利を確信していた。

 ケアレスミスで多少減点されたものの、涼華の点数は98点。六花が100点でも取っていない限りは負けるはずがなかったのだ。


「んなっ!? 100点!?」


 涼華が六花の答案を見て、目を見開く。


「あ、あんた算数苦手だって言ってたじゃない! 詐欺よ詐欺!」


 涼華が地団駄を踏む。


 ――――勉強が出来る方なのは間違いないが、勉強では六花に敵わず。


「バカだな涼華、勉強で佐々木に勝てるはずないだろ?」


「そう言うあんたは何点だったのよ、鈴」


 涼華が茶化してきた鈴を睨む。


「はっはー、あたしの点数を知りたければ捕まえてごらんなさーい!」


「こ、こらっ、待ちなさいよ!」


 道中の公園へと鈴が駆け出していき、涼華がそれを追う。二人の鬼ごっこが始まった。

 しかし、どれだけ追いかけても涼華が鈴を捕まえることは叶わず。


 ――――運動神経も良い方なのだが、運動では鈴に敵わず。


「ぜぇぜぇ……」


「涼華、そんな必死に追いかけなくてもあいつ0点だから」


 六花はそう言うが、涼華にとってはそういう問題ではないのだ。


「どうせ鈴が0点なことなんてわかってるのよ!」


「おい、どうせって何だ」


 鈴が心外とばかりに言う。


「ただわたしは、こいつを捕まえないと気が済まなかっただけなの!」


「負けず嫌いだからねぇ、涼華ちゃん」


 理沙が微笑む。


「ふんっ、あんたたち、いつか勉強でも運動でも勝ってやるんだから、覚悟してなさいよね」


 その負けず嫌いには六花も鈴も苦笑するしかなかったが、ただ理沙だけはそんな涼華の生き方を格好いいと思っており、憧れていたのだった。

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