第3話〜禁煙を進めるなら

それでしばらく経った。あのチビ助もとい、にーなは教えればすぐに出来る優秀な子だった。


あのクソ店長の思惑どうりなのが、納得いかないンだけど。1人でも立派な接客が出来るようになったし良いか。


「そろそろ休憩入ります、ンじゃあ。」

「あ!片寄さんもですか?わたしもご一緒させていただいてもよろしいですか…?」


最近、にーながあざとい目付きで見てくるようになった。これで売上が上がってンならいいけどよ。


「ン、分かった。」

「本当ですか?ありがとございます!」


待機室から外に出て、路地裏に出た。まだ寒いけどさっきの酒臭い密室よりかはマシだ。私はタバコのケースを取り出して、タバコに火をつけた。


外の扉の前に座ってタバコの煙を吸う。吸い始めた瞬間、にーなが咳き込んだ。


「こほっ、片寄さんっていつもここで吸ってるんですか?」

「元彼がここでいつも吸ってたから。それに影響されてンの。」

「でもタバコはお体に悪いですよ…」


…久しぶりに見た、人を憐れむ顔。いンや、これは心配といった方が正しい。風が吹き、ドンドンと体が冷えていく。


「もう癖になってンだと思う。2年ぐらい恋人いないからかね。」

「禁煙してほしいです。わたし、片寄さんの匂いが好きなんですよ。」

「そンならさ、」


急に可愛い事言ってくるンだね。あ、そうだ。口が寂しいンならこうすりゃいいンだ。


隣に座っているにーなのシミッたれた頬にキスをした。すぐに触れている唇が熱くなっていくのを感じ取れた。


右手に持っていたタバコは地面に落として、ヒールで火を消した。


「な、なに…するの?」

「禁煙。吸いたくなったらアンタの頬にキスするンだよ。」


そう言うとにーなは更に顔を赤くした。寒いはずなのに今だけは隣のチビ助のせいで暖かった。


こりゃ、公務員と結婚は無理だな。



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