第3話〜結局は私も足を洗えずに

んんぅ、眠いよ。


「…!」


今日はお休みなの。だから沢山寝ないと…月曜日が苦しく…んんぅ。


「早く起きてよ、八聖くん。」

「…ぴゃ?!」

「ククッ、妙な起き方だ。魚はそんな寝方をするのか?」


寝転んだまま起きちゃった。あれ、そう言えば…八聖は気絶しちゃってそれで…って、なんだか床が暖かい。人間さんの体温ぐらいの熱さで…え?!


「あなたのお膝で寝ちゃいました!すみません。と、というかあなた誰ですか!警察を…」


もうこの人間さんには振り回されちゃってるから次は八聖の番だよ!


「ボクはスミレ。19歳、先祖代々死体処理のプロフェッショナルで…というかボク以外全員死亡したんだった。それとボクの組織は警察にコネがあるから通報しようが無駄だ。」


対面で座って話しているよ。至近距離だとなんだか人間さんの血みたいな匂いがする。というか、体に染み付いちゃってる。


「そんなぁ…八聖、健やかに人間さんの社会に溶け込みたいだけなの。スミレ、出ていくなら今だよ。」


八聖のお願いも聞かずに、またスミレは笑った。酷いよ、人魚の言い分も聞いて欲しい。


「ボクに目をつけられたから運が尽きたんだ。それにオマエを見ているうちにボクはオマエに惹かれていった。」

「つまり…ボクは隣の部屋に住むし、お前の部屋も監視するから。たまにグチャグチャ音が聞こえるが、気にしないでね。」


そんなのってありゅんですか?そもそもなんでそれを八聖に…あ、盗聴器が外れて焦って来たとか?それだったらちょっとおバカかも、クスクス。


「むぎゅっ?!にゃ、にゃにしゅるの?」


八聖のほっぺたをスミレは両手で引っ張っている。なんて強い力なの?ほっぺたの皮膚がちぎれそう…というかちぎれる!


「ボクを笑うな。これからは退屈しないで済みそうだ、よろしく頼むよ?八聖くん。」

「いひゃい…これがDVなのね。」

「クククッ面白い顔だ…ん、風呂で塩水を作っていたからしょっぱいな。」


人差し指をペロッと舐めてる。それで人の嫌な顔を見てすっごく笑ってる…いや、人じゃなかったよ、八聖。


人間さんって本当によく分からない。




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