第2話〜お隣さん

それでね、玄関のドアを開けるとね。全く知らない人間さんが居るの。


黒髪で毛は短くて、すごく笑顔の若い女の子。黒いエプロンとゴム手袋をしてる。この人間さんは八聖になんの用なのかな。


「ボク、お隣の者です。最近…というよりかは今日引っ越してきたので挨拶を。」

「そうなんですねぇ、よろしくおねがいしますねぇ。」


わーい、新しいお隣さんだぁ。って、あれ?八聖のお隣さんは確か…両サイド埋まってた筈で、あの人達の引っ越しもお別れも聞いてないよ?


これは大家さんに聞いた方がいいのかな?八聖の不安が顔に出ていたみたいで、目の前にいる女の子が急に部屋に入ってきて玄関のドアを閉めた。


「ひゃっ…!」


八聖は尻もちをついてしまった。いたた…最近良くぶつかるなぁ。そんな事より目の前にいるこの女の子は何を…ま、まさか!


「さ、刺身?それともや、焼き魚?た、食べないで〜!八聖は美味しくないの!」

「ククッ、ククッ。」


この笑いは絶対に食べようとしてる!八聖の感がそう告げているのです。そしてその女の子は笑いを堪えながら、洗面所の方へと歩いた。あ、あれ?


それで出てきたんだけど、手にはあのへんてこな黒い小さな箱を持っているの。


「ターゲットの処理に手間がかかって暇潰しに隣の部屋を盗撮したら…ククッ、良いモノが見れたよ。サンキュー、人魚くん。」


ターゲットの処理…人魚…あわわわぁ!?人魚ってバレてるし!しかも処理って何?盗撮って何なのぉ??だから人間さんは怖いんだよ!


「に、ににににに人魚じゃないですし?」

「ククッ動揺がこんなにも分かりやすいのか。ますます興味が湧いてきた。八聖くん、オマエの体を解剖してみたい…」

「名前もバレちゃってる?!」


あわ、あわわわ?!ど、どどどどうしよう…この人間さんは、八聖がいつも接している人間さんとはひと味もふた味も違うよ!


ーこんなに焦ったのは人生初めてで、八聖は気絶しちゃった。キャパオーバーってやつ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る