OL人魚は裏社会には屈しない

第1話〜お風呂の死海を作りましょう

人間さん達の社会って、どうしてこうも生きづらいのかな。


今、八聖やせいはお風呂という物に入っているの。ここは八聖のお部屋で、誰もいないから元の姿に戻っているの。


昔だったらカンキョウオセン?もあんまり進んでいなかったから、そのまま海でずっと暮らせていたんだけどね。


八聖が妹達の分の食費を稼がなきゃならないの。それは他の人魚も同じで、みんな自力で人間さんの言語と足を手に入れるの。


それって相当難しいのよ。初めに言ったけどね、人間さんの社会って恐ろしいの。


「ふひぃ…体にお塩が…」


ストレスとか不満がとっても溜まるの。それは八聖も一緒で、週に1度こうやってお風呂で死海を作って入るの。


「むぅ、やっぱり人間さんサイズだからお風呂小さいよ。」


八聖はね、リュウグウノツカイの人魚なんだよ。妹達もみーんなリュウグウノツカイなんだよ。八聖が1番大きくて1番年上なんだよ。


「もっともっと稼がなきゃ…」


そう言って尾ビレを伸ばすと、壁に思いっきりあたっちゃった…すっごく痛い!ジンジンするよぉ。


「いたた…あれ?なんだろ、これ。」


お風呂の中に入っちゃったから、取り出してみると、黒くて小さい四角い箱?八聖はこんなの買った覚えはないよ。


「んぅ?レンズ?本当になんだろう、コレ。」


八聖は沢山考えたよ。お菓子か、それかオモチャか。人間さんの作るお道具はよく知らないから結局分かんなかった。


ピンポーン。お家のチャイムがなった音だ。急いで人間さんに戻って対応しなくちゃ!

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