第2話〜新人は先輩に守られてな

初日はどのバニーガールより、注目を集めていた。やっぱりこんなに小さいオンナノコは中々居ないから珍しいンだろうな。


「ねぇ〜君は可愛いね〜」

「バニーガールが似合うね〜にーなちゃん。本名なのぉ〜?」


…ロリコン共が。酔っ払っているせいか、チビ助に過度なスキンシップをしている。


バニーガール衣装のガールズバー自体が珍しいのもあるけど、客層は結構バラバラだ。現にチビ助はオッサンと若い大学生に絡まれている。


「あ、あのぉ…そのぉ…触るのはちょっと…メッ!ですから…」

「そんな事言わずにさぁ〜ねぇ?」

「ちょっ?!ヤバいッスよ〜それは〜」


オッサンがチビ助の頬を撫でている。チッ、こいつの嫌な顔は頭にクる。そンで新人が絡まれているのに、誰も注意しない事にも腹が立つ。


「オッサン。」

「あ〜きみもいたね〜?いやぁ、プリプリな身体だねぇ。一応リイン交換しようか〜」


私はこのオッサンに焼酎の瓶を叩きつけた。うわぁ、今回は結構血が出てるな。バーの机に顔を思いっきりぶつけてるし、そりゃ出るよな。


「きゃ、きゃきゃ客に何をするんだ!このアバズレ!お客様は神様だろ?!」

「過度なスキンシップは当店のルールに反します。そのルールに反した場合、バニーガールは殴っていいンです。それがルール。」

「そんなのどこにも書いて…!」


その隣にいた大学生が当店のメニューの最後の小さな文字を見つけたようだ。ったく、遅いンだよ、気づくのがよ。


「か、書いてますよ。バニーガールがセクハラや暴力行為を受けた場合、本人もそれの仕返しをしていいって…」

「そンなら帰ってください。あンたら、ここ一帯のガールズバーを出禁にされてる2人組みじゃないですか。」


その2人組は店の戸を無様に開けて逃げた。外の冷たい空気が流れ込んでくる、バニーガールにはちと寒い。


このメニューの文が何故誕生したか気になる事だろう、以下の理由を見れば分かるンじゃないの。


私は他のバニーガールがセクハラやパワハラ、暴力行為を受けているのを見た。それが無性に腹が立ち、店長を脅してこのルールを書かせた。


…そのせいでちょっとマニアックになったけど良いでしょ。


「か、かっこよかったです。片寄さん。」

「そンな事はない。さっさと別の客ントコに行くよ。」

「はい!わたしは片寄さんについていきますよ、恩人ですし。」


チビ助はさっきまでセクハラを受けていたのにも関わらず、目をキラキラ輝かせている。

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